k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2012年06月号

Newton (ニュートン) 2012年 06月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2012年 06月号 [雑誌]

特集は100億人時代。
「定員近くまで人口が増え、その状況を打破する技術革新がおき、定員が拡充する。そしてふたたび定員近くまで人口が増える。このくりかえし」(p.31)というのが現在の理解。技術革新が起きたので人口が増える、ということではないそうだ。
なお、人口については国連のデータをもとに推計すると、幾つかの可能性が考えられるが最も可能性が高いシナリオでの2083年の人口が100億。これでほぼ落ち着くということらしい。アジア圏は抑制の目処が立っておりピークは2050年頃。アフリカの人口増加をどのくらい抑制できるかが鍵。
食糧はなんとかなりそうだがエネルギーが課題。


食糧問題の対応法の一つが「植物工場」。そこで育てる作物には従来とは異なる特性が必要となる。例えば稲の場合。現在は、種が勝手に落ちず、風に負けない茎を持ち、寒さや害虫に強いことが求められる。しかし、工場栽培ならそんな特性(風、寒さ、害虫の対策)は不要なので違った品種が求められる。
(例えば稲を吊して栽培する、なんてアイディアもあり、この場合は種は勝手に落ちてくれる方が楽。)

ポニーテール (p.5)

ケンブリッジ大学のゴールドスタイン博士等の研究で、ポニーテールの形がどうやって決まっているのか分かっていなかったのだが、それを分析したという研究が紹介されていた。
髪の硬さやふくらんだ毛の束にかかる重力などを考慮した式を作ったというもので、左右に動く際のポニーテールの形状も予測できるそうだ。
探したら、本当にあった http://www.damtp.cam.ac.uk/user/gold/pdfs/ponytail.pdf

イグノーベル賞でも狙うのかと思ったが、光ファイバーの扱いなどを念頭に置いた真面目な研究らしい。

UFO (p.5)

ブラックホールからUFOが出ている、というと何のことだと思うが、ここでいうUFO は、"ultra-fast outflows"のこと。
ブラックホールからジェットが出ると言う話はよく見るが、ジェットは強すぎてガスを完全に吹き飛ばしてしまうことになるがそれだと質量の変化の説明がつかない。そこでジェットよりも流量が多く、完全に質量を吹き飛ばさないガスの流れがあるはずで、それがUFOではないか、という記事。

誰が命名したのか知らないけれど、狙ってるなあ。

育てる海底資源 (p.14)

深海底の熱水噴出孔というのがあり、周囲で生物が育っていたり、レアメタルが見つかったりしている。この噴出孔にはチムニーといわれる構造ができ、ここにレアメタルが含まれるのだが、このチムニーを人工的に作ってしまおうという研究。
驚いたことに、現在の価格と技術で採算が取れる見込みがあるのだそうだ。(海洋研究開発機構の高井博士らの研究)

巨大地震の最悪ケース (pp.50-)

今号の第2特集。最近発表される災害予測が従来のモノよりも大規模になっているのは、もちろん「想定外は許さない」という政治的社会的風潮に対応するという意味合いが強いが、それでも科学的な根拠がないわけではない。それを解説した記事。
簡単に言えば、想定するシナリオの数を増やし、その最悪値を繋げていったからということになる。その増えたシナリオの内容を解説する記事。

一方で、可能性の高いシナリオだけを強調したものもあり、結局、きちんと考えないと対策がとんちんかんなことになりかねないという警鐘でもある。

すばるの新カメラ (pp.62-)

現在すばるで準備中のHSCカメラの紹介記事。
一言で言えば、超デカイ超高性能デジカメなのだけれど、「重さ三トン、画素数八億七千万」という数字は想像を絶する。しかも素子自体も従来の5倍の厚さ(厚ければ厚いだけ光を吸収する能力が高くなる)。

脳の疲労 (pp.102)

疲れの科学について解説した記事。
面白かったのは、運動による疲労は、筋肉の疲労以上に脳の疲労だというところ。脳の温度が上昇したり、血中のグルコースが欠乏したりすることで、神経系がうまく動かなくなってしまう。もちろん、筋肉自体も疲労はしているけれど、それだけではないということらしい。


こういった研究は疲労の測定技術に繋がっていて、疲れが取れない理由の分析や、逆に疲れているのに頑張りすぎてしまって疲れを自覚できなくなってしまう問題(過労死の原因となる)へ対応することを目指している。