ソード・ワールド2.0サプリメント ミストキャッスル ─蛮都からの生還─
- 作者: 川人忠明,田中公侍,グループSNE
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2009/02/20
- メディア: 単行本
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内容は、随所で紹介されていますが、蛮族に支配された街「ミストキャッスル」に潜入し、目的を果たして脱出するまでのキャンペーン用サプリメントです。特徴は、「GM無しでも遊べる。ソロプレイでも冒険できる」という部分。街は39の区画に区切られており、どこに何があるか、そこに行ったら何が起こるか、を基本的には全てランダムに決定する。これにランダムイベント(遭遇、戦闘、任務)などを組み合わせて、過酷な街でのサバイバルを遊ぶ。戦闘に負けて全滅しても、全滅表を振って改造されたり復活したりする。その時アイテム類がどうなるかもランダム。
イベントをこなすと「★」を得ることができ、獲得した「★」の数で大きなイベントの発生が制御されている。これで大目標に向けての流れを制御するわけです。
第一印象的には「SWというよりウォー・ハンマーか?」と思いますが、この大きなイベントの流れの部分は、ウォー・ハンマーで扱うには少々違和感があり、やはりSW向きだと思う。
ちょこっとだけソロプレイしてみましたが、「戦闘が面倒だなあ」と思ってしまう私は、すでに何か勘違いしているのかもしれない。
いわゆる「箱庭型」とも「ストーリー型」とも異なるスタイルを提示している本サプリメントですが、上述のとおり、実はボードゲームライクな遊び方に近い印象がある。これで、戦闘をルーンバウンド程度の詳しさで行い、一日で脱出まで遊べるようにしてしまえば、完全にボードゲームだ。
デザイナーというか、プロデューサーのレベルから見て、本書というのはどういう位置づけなのかが気になる。T&Tのソロアドベンチャーがヒントになっているのは分かるけれど、それだけなら本書のような仕上がりにはしないと思う。つまり私の疑問は、制作者側は、本サプリを、ボードゲーム方法論のTRPGへの展開として捉えているのか、FEAR系のシナリオクラフトの発展版として捉えているのか、どちらなのだろうか、というところなのである。
ボードゲームの取り込みだと思うと、ボードゲームだけではできないTRPG的な展開の部分のサポートがやや弱く感じる。なので、シナリオクラフト(シナリオクラフトでキャンペーンを支える仕組みは弱く、マスターの能力に依存することになる)の発展と捉える方がいいのかもしれない。
また、本書はランダム性とボリューム故に、マスターは事前の準備をあまりすることができない。そこにどういう意図があるのかも興味がある。
そういうところを、インタビューとかで聞いてくれればいいのだがなあ。
あとは、ラクシア全体の展開との関係とか、続編をどうするのかとか。まあ、その辺は評判次第なので、今は表明はしないのだろうけど。
そうそう、シート類は、http://fujimishobo.co.jp/sw/2009/02/post_53.php からダウンロードできます。