k-takahashi's blog

個人雑記用

ミストキャッスル

 ということで、ソードワールド2.0のサプリメント。自称「大型サプリメント」ですが、A4サイズ128ページなので、ボリューム的には普通。
 内容は、随所で紹介されていますが、蛮族に支配された街「ミストキャッスル」に潜入し、目的を果たして脱出するまでのキャンペーン用サプリメントです。特徴は、「GM無しでも遊べる。ソロプレイでも冒険できる」という部分。街は39の区画に区切られており、どこに何があるか、そこに行ったら何が起こるか、を基本的には全てランダムに決定する。これにランダムイベント(遭遇、戦闘、任務)などを組み合わせて、過酷な街でのサバイバルを遊ぶ。戦闘に負けて全滅しても、全滅表を振って改造されたり復活したりする。その時アイテム類がどうなるかもランダム。


 イベントをこなすと「★」を得ることができ、獲得した「★」の数で大きなイベントの発生が制御されている。これで大目標に向けての流れを制御するわけです。
 第一印象的には「SWというよりウォー・ハンマーか?」と思いますが、この大きなイベントの流れの部分は、ウォー・ハンマーで扱うには少々違和感があり、やはりSW向きだと思う。


 ちょこっとだけソロプレイしてみましたが、「戦闘が面倒だなあ」と思ってしまう私は、すでに何か勘違いしているのかもしれない。


 いわゆる「箱庭型」とも「ストーリー型」とも異なるスタイルを提示している本サプリメントですが、上述のとおり、実はボードゲームライクな遊び方に近い印象がある。これで、戦闘をルーンバウンド程度の詳しさで行い、一日で脱出まで遊べるようにしてしまえば、完全にボードゲームだ。


 デザイナーというか、プロデューサーのレベルから見て、本書というのはどういう位置づけなのかが気になる。T&Tのソロアドベンチャーがヒントになっているのは分かるけれど、それだけなら本書のような仕上がりにはしないと思う。つまり私の疑問は、制作者側は、本サプリを、ボードゲーム方法論のTRPGへの展開として捉えているのか、FEAR系のシナリオクラフトの発展版として捉えているのか、どちらなのだろうか、というところなのである。

 ボードゲームの取り込みだと思うと、ボードゲームだけではできないTRPG的な展開の部分のサポートがやや弱く感じる。なので、シナリオクラフト(シナリオクラフトでキャンペーンを支える仕組みは弱く、マスターの能力に依存することになる)の発展と捉える方がいいのかもしれない。


 また、本書はランダム性とボリューム故に、マスターは事前の準備をあまりすることができない。そこにどういう意図があるのかも興味がある。

 そういうところを、インタビューとかで聞いてくれればいいのだがなあ。

 あとは、ラクシア全体の展開との関係とか、続編をどうするのかとか。まあ、その辺は評判次第なので、今は表明はしないのだろうけど。


 そうそう、シート類は、http://fujimishobo.co.jp/sw/2009/02/post_53.php からダウンロードできます。