k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2014年5月号

軍事研究 2014年 05月号 [雑誌]

軍事研究 2014年 05月号 [雑誌]

米国防高等研究計画局DARPA主催「世界初の人間大ロボットによるオリンピック」(阿部拓磨)

シャフトがトップになって話題になった先日のロボティクスチャレンジのレポート。種目や得点傾向の解説もあって面白い。
一部で言われているほどシャフトが独走しているわけではないようだ。四つん這い変型するCMUのロボット(CHIMP)、ソフトウェア上でのシミュレーションを比較活用するMITのロボット(ATLAS)、座って安定させるJPLのロボット(RoboSimian)、手堅く加点し予選突破を果たしたTRACLabsのロボット(ATLAS)。予選突破できなかったロボットの事情も簡単に紹介。

中国が構築する大規模地上戦力渡洋能力 強襲揚陸艦LHDを核とする揚陸艦隊(多田智彦)

水陸両用/揚陸作戦(Anphibious Operations)能力の向上を目指した揚陸艦艇の増強(p.54)

の解説。例によって情報公開をしない国なので正確なところは分からないが、LHD1隻、LPD2隻を中核にした強襲揚陸部隊を3個整備する計画だろうと記事では推測している。
081型LHDは2万トン超(おおすみの1.5倍)の全通甲板型、071型LPDは2万トンのドック型、となる模様。


今月号には「国産空母・第2世代AIP潜水艦・第4世代原潜・大型揚陸艦、多数の新型水上戦闘艦を建造」(田中三郎)という記事も載っており、今年の建造状況を分析している。

富士学校部隊訓練評価隊のデザート遠征(菊池雅之)

今年の1月にカリフォルニアで行われた訓練評価隊のCTC訓練のレポート。
この評価隊というのは、訓練を評価・指導する部隊のことで、FTC(Fuji Training Center)と略称される。その部隊が自ら海外に遠征して訓練したということ。
フォートアーウィンにある訓練施設で、広さは50キロ四方と日本では考えられない広さ。1000人規模の部隊が1週間に亘る訓練を実施できる。途上国を模した村があり、そこではロールプレイ式の訓練もできる。(テロリストが潜伏しているという設定も可能)


なかなか過酷な訓練のようで、取材の菊池氏が「寝袋やテントは持ってこられましたか?」と聞かれたり、「野宿は覚悟してください。夜は恐ろしく寒いのですが、火を焚いて暖を取ることはできません」と念を押されたりしている。
また、

  • 指揮棒を持っていると指揮官だとバレバレですからね。見つかったらすぐに敵に狙撃されてしまいますよ(p.82)
  • 指揮権の速やかな委譲も訓練しなくてはいけませんから(p.82)
  • ストレスを感じることも今回の訓練の目的の一つである(p.83)
  • 今回の訓練で部隊をおおいに悩ませたのが、パンクだった。(p.83)


菊池氏はJX25のレポートも別に寄せている。そちらでは、「ナッチャン」に第4地対艦ミサイル連隊、第20普通関連隊を2時間ほどで積み込む、「早い」と感心している。広いので車両の取り回しが楽ということのようだ。


アメリカ陸軍最強特殊部隊の汗馬 先進改良されるMH系特殊作戦ヘリ(石川潤一)

様々な機種が入り交じっている米陸軍の特殊戦用ヘリだが、現在、AH/MH-6M、MH-60M、MH-47Gへの集約が進んでいる。その3機種の解説。

空の防人回想録

第20代航空幕僚長の鈴木昭雄氏の連載。冒頭は東京五輪ブルーインパルスについて。
鈴木氏は保安大学の一期生だが、やはり、終戦直後は大変だったようだ。

ロシアの最重要拠点・軍港セヴァストーポリ プーチンは大ロシア復興の英雄となるか(小泉悠)

クリミア侵略問題についての解説記事。
小泉氏は

プーチン大統領はクリミア問題をポスト冷戦的秩序の転換点としてみなしているのではないか(p.182)

と懸念を表している。なにしろ事態が流動的なので、小泉先生も大変だろう。来月はウクライナの軍事力分析を予定。


ICBM搭載のスーパーEMP弾頭 北朝鮮が開発中の超秘密兵器(山本紀義)

EMPは電子機器を破壊する兵器だが、米軍などは「小型軽量で巡航ミサイルに搭載可能」な方向に進んでおり(CHAMP、など)、通常のECMと変わらないものになってきている。
一方、北朝鮮は精度が無い分をでかいままで済ませようとしている模様。

北朝鮮が実施した2006年10月の核実験はスーパーEMP弾頭の実験だったとの情報があり、2012年12月のミサイル発射では、100kgの衛星を軌道に乗せ、スーパーEMP弾頭搭載も念頭にある様だ。通常書くより遙かに被害範囲が広いこのスーパーEMP弾頭は、高空で爆発させると命中精度が悪くても米国のほぼ全域を被害に曝すことができるほど大きな威力という。
(p.231)

これは、日本や韓国に向けて撃たれる可能性もある。