k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2014年11月号

軍事研究 2014年 11月号 [雑誌]

軍事研究 2014年 11月号 [雑誌]

イスラム国」が仕掛けるツイッター・ボム(阿部拓磨)

イスラム国のメディア戦略の解説。誰が仕切っているのかは分からないが、単なるプロパガンダだけでなく、兵士募集や資金集めにも有効活用している具合が解説されている。実際、これに引っかかって、イスラム国を応援した連中は日本にもいたわけで。
”釣り”、”拡散”、”炎上”という単語は通常のウェブでもよく聞く話だが、これを巧妙に活用している。
もっとも、欧米の情報当局は、ばらまかれる情報を分析しているようでもある。

陸上総隊の一元的な指揮「水陸機動団」(田村尚也

27年度陸自予算要求の分析記事。
実は、陸自の要求額はほとんど伸びていない。増えた分も「燃料費」の増加分が大半。一方で、後年度負担は14%増。
部隊関連だと、与那国島に配置予定の第303沿岸監視隊と陸上総隊。陸上総隊は、第一線部隊を一元指揮する司令部が陸自にないため、これを創設しようという話。合わせると、「有事の際には陸上総隊の一元的な指揮の下、水陸機動団→即応機動連隊→機動師団・機動旅団を送り込む」という体制となる。
新装備は、言わずと知れた水陸両用車とティルトローター機。他に対BC兵器装備も新装備として要求している。

「新型多機能艦」オスプレイも搭載(福好昌治)

こちらは、海自の27年度予算要求分析。
額の上では三自衛隊のうちもっとも伸びが大きい。
そうりゅう型潜水艦の継続と改良も要求されているが、これに見合った人員増加は手当てされていない模様。
他に、有事に民間フェリーを活用するための「民間海上輸送力の活用に関するPFI事業」というのが要求されている。例の自衛隊法の穴に対応するため、民間フェリーの船員を予備自衛官にするというアイディアらしいが、うまくいくんだろうか。

対中国!南西方面の航空優勢を確保(小林春彦)

こちらは、空自を中心にした27年度予算要求の航空戦力整備分析。
那覇の第83航空隊を廃し、第9航空団を新編するという話で、204、304の2飛行隊が那覇に常駐することになる。
先月の記事にもあったF-15の改修は、見送り。方針が決まっていないのが要因との分析。
調達ではP-1哨戒機20機の一括調達が注目。5年を越える長期契約となるため立法措置が必要だが、実現すれば9.6%の経費節減効果が出る見込み。

ここが気になる!?「中華イージス」(井上孝司)

公開情報をもとに、中国の艦船(蘭州級、昆明級)の航続距離を分析している。よく言われる「機関出力は速力比の3乗に比例する」を使った概算分析だが、空母護衛用と考えると航続距離が短すぎるという結果となる。南シナ海侵略用と考えると辻褄が合うようだ。
他にコルベット(江島級)に小型戦闘艇が積まれている点、ASWを軽視しているように見える点などからも、同様の分析になるようだ。

ワールド・イン・フォーカス(菊池雅之)

先日の広島土砂災害の災害派遣レポート。
陸自の車両がスロット店の駐車場にいると聞き、不思議がっていたが、

今回は被災地以外はまったく普通の生活があり、我々の拠点として使える場所が少ないんです。(p.121)

だそうです。

米軍の汎地球打撃兵器『ステルス&極超音速』(軍事情報研究会)

QDR2014で書かれていた「F-35整備」「長距離打撃航空機」「次世代空中給油/輸送機」についての解説。
このうち爆撃機は、予算の関係で小型の亜音速ステルス機となり、そうすると航続距離が小さくなり、給油機が重要になるという関連にある。

空爆防衛班『創設期の壮大な構想』(鈴木昭雄)

鈴木・元航空幕僚長の回想録の7回目。
F-4、F-15やバッジ・システムのことも書いてあり、「F-15が主力になってから戦闘機の航空事故が極めて少なくなってきております」(p.150)というコメントも。
記事の後半は予算折衝の苦労。昭和期に政治がきちんと国防政策を示さなかった分の苦労を制服組が抱え込んだわけだが、その辺の話を色々。

P-8Aポセイドン&MQ-4Cトライトン(石川潤一)

米海軍の哨戒機の解説記事。
8月に中国軍が異常接近事件を起こした相手がこのポセイドンP-8A。マレーシア機の捜索にも加わったことから分かるように、活動範囲が広く、そこが中国軍の気に触ったようだ。石川氏はAASポッドの試験飛行を見かけたことも記している。
MQ-4Cはグローバルホークの海軍版。これがポセイドンを補佐する形になる。必要ならば急降下して低高度でミッションを行うところがグローバルホークとは異なるところ。

誕生!ロシア待望の新型戦車「T-14」(小泉悠)

連載中のロシア軍近代化状況の3回目。今回はまず防空・ミサイル防衛システム(S-400、S-500、A-235、S-300V4、S-350、42S6)を紹介。次が新型装甲車ファミリー(アルマータ重装軌式プラットフォーム、クルガンツェフ25シリーズ、トラック型装甲兵員輸送車)。こちらはウクライナ絡みでどれが優先されるか不明(重装備路線か、機動力路線か)。他に航空関係もウクライナ問題の影響が出そう。