k-takahashi's blog

個人雑記用

人工知能学会誌 Vol. 32 No. 2

 表紙はFF-XVのノクティス。ドット絵っぽいキャラクターも描かれている。


 特集が「ゲーム産業における人工知能」。
パックマンのモンスター(キャラクター付けがされており、それっぽい動きをするという点で、非常にプリミティブなAIである)辺りが嚆矢になるのだろうが、ここで扱っているのはもう少しモダンなAI。
状況を分析するAI(最も多いのが移動経路を決める機能)、キャラクターを動かすAI、ゲーム全体を管理するAI、の3つに分けるのが現在では一般的らしい。(それぞれナビゲーションAI、キャラクタAI、メタAIと言う)


論文は5本で、『ビデオゲームとAIは相性が良いのか?』(森川 幸人)、『シーマンは来たるべき会話型エージェントの福音となるか』(斎藤由多加インタビュー)『リアルタイムサッカーシミュレーションゲームのAIシステムの一手法について』(安藤 毅)、『汎用ゲームAIエンジン構築の試みとゲームタイトルでの事例』(長谷 洋平)、『大規模ゲームにおける人工知能ファイナルファンタジーXVの実例をもとに』(三宅 陽一郎、他)。
遊んだことのあるゲームが題材だと「ああ、あそこのことか」とわかって楽しい。ゲーム映像とかを交えたプレゼンの方が効果的なんだろうとは思うが、こればかりはしょうがない。見たければ学会講演とかに行かないと。
(三宅さんの同内容の講演はここで紹介されている。)


ゲームが複雑化、巨大化するにつれて、古いやりかた(手でルールとかスクリプトを全部書く)では間に合わなくなり、自動化・効率化としてAIが取り入れられてきたという部分とか、プレイヤーの満足度を上げるための演出工夫(AIを使う事自体が演出・満足度の強化になるという面と、ちょっとしたズル(工夫)をしてプレイヤーの満足をあげる面と、の両方がある)とか。


森川さん、斎藤さんと安藤さん、長谷さんとは、やっぱり世代・考え方が違うなあというのも面白いところ。


森川さんのくまうたのところが笑えた。

音声合成で歌を歌うことではボーカロイド初音ミク」が有名ですが、初音ミクのリリースは2007年、「くまうた」は2003年ですから、少し先輩にあたります。
(中略)
かわいい女の子xテクノポップの組み合わせに対して、クマx演歌という世界観を選んだところに、著者の商才のなさがうかがえます
(p.170)