ファーストコンタクトものはSFの重要なサブジャンルの一つであるし、FCS(First Contact Simuratilon)という試みもある(FCSはイコールSFではないが、そういうのを面白がって本気で取り組むのはSFファンが多い)。
本書は、そのファーストコンタクトをネタにして、コミュニケーション論を色々と解説している。
試み自体は買うとして、中身は「ああ、もうちょっと」というところ。コミュニケーション論の紹介は、「へえ、そんなのがるのか」という知的好奇心を満たしてくれるのだが、肝心のSFとの絡みがあまりうまくいっていない。ファーストコンタクトSFからコミュニケーション論へ繋ぐ部分がもっと丁寧だといいのだけれど。
SF大会の企画かなにかで、SFとりあえず置いといて、コミュニケーション論を丁寧に解説する方がいいフィードバックが貰えるのではないだろうか。
あと、これはときどき見かけるその手の人達の悪い習慣のひとつなのだが、中途半端に科学の単語を比喩として使っていていらつくことがある。本書もそういうきらいがある。
科学や数学の言葉から「哲学的な意味や人生訓話を引き出してはいけない」。