もしも月が2つあったなら ありえたかもしれない地球への10の旅 Part2
- 作者: ニールFカミンズ,増田まもる
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2010/09/23
- メディア: 単行本
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- もしも月が2つあったなら
- もしも地球が月だったら(惑星ではなく衛星側で文明が発達したら)
- もしも月が逆向きに公転していたら
- もしも地殻がもっと厚かったら
- もしも地球が今から150億年後に生まれたら
- もしも太陽の反対側の地球の軌道に反地球があったら
- もしも地球が銀河のどこか他の場所で生まれていたら
- もしも太陽の質量がもっと小さかったら
- もしも地球に太陽が2つあったなら
- もしも他の銀河が私たちの銀河に衝突したら
まず、それらを考えるときの重要なポイントとなる「潮汐」の説明がある。これは本書中に何度も出てくる話で、これほどに重要なポイントになるんだな、というのが読み進めていくと分かる。
各設定毎に簡単なショートストーリーが冒頭に示される。最初の「月が2つ」だと、月が徐々に地球から遠ざかっていくのをガリレオという学者が観測してしまい、宗教裁判にかけられてしまうというストーリー。
なお、月が2つのバリエーションとして、月を捕捉する場合が書かれているが、このときは地球上にとんでもない天変地異が起こる様子も描写される。
冒険SFの部隊に使えそうなのは「地球が月だったら」。巨大な惑星が常に頭上にあるという、アフサン*1の設定のような状態。それが細かく説明されている。
地殻が厚いと、惑星の内部エネルギーの逃げ場がないので、噴き出すときにはとんでもないことになる。
今から150億年後に生まれていたら、というのは150億年後に宇宙がどうなっているかということを考えることを意味する。重元素の比率が地球より高くなるというのも面白いが、観測できる宇宙の広さが違うというのも興味深い設定。星を作る燃料は今より少なく、宇宙は現在より膨張しているので星間距離も大きくなる。なので、宇宙は現在よりすかすかなのだが、望遠鏡を使うと現在よりも4倍多くの領域を観測できる。ここでは天文学の発展の仕方が確かに変わりそうだ。
最後の銀河衝突は、今からたった30億年後に天の川銀河とアンドロメダ銀河の衝突というかたちで、実現することがほぼ確実視されている問題。そのどこかで太陽が他の恒星と衝突する可能性があり、そしてそれ以上にニアミスを起こす可能性がある。ごく近いところで衝突が起こればそのときの爆発の影響も馬鹿にできない。こう聞くと、銀河全体の文明の危機だよな。残り30億年で他の銀河への脱出とか間に合うのか。
それぞれの設定について、一つずつ論証を積み上げていくステップも面白い。ワールドビルディングとかに関心のある人なら必読。
*1: