はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
- 作者: 川口淳一郎
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/12/10
- メディア: 単行本
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内容的にも重なる部分が多いので、どちらか一冊というなら『小惑星探査機はやぶさ』の方を進めます(はやぶさ本を一冊も読んでいないという人は少ないでしょうから)。
幾つか、抜き書き。
ミネルバを付加的な位置づけにしたことに関して
その実験には、JAXAにいる大学院生をはじめ、大勢の若い研究者も参加しました。ギリギリのところで開発を進めている現場では、若い人たちに経験の機会を与えるのは難しい。でもオプション機器であれば、それも可能になります。成功すれば地震になり、もし失敗したとしても、それは貴重な経験として蓄積すればいいのです。(p.75)
残念ながらミネルバは着陸できませんでしたが。
遊び心について
「はやぶさ」の第2運用室のカギの暗証番号は「8823」でした。(p.118)
PMの気配りとして(2005年12月の通信途絶の時のエピソード)
ポットのお湯は、プロジェクトに参加している人たちがボランティアで準備していました。でも、通信が途絶し、運用室の人が少なくなってくると、ポットに水が補充されることも少なくなってしまいました。そこで、私自身が自分でお湯を変えるようにしていたのです。
運用室にやってきたJAXAやメーカーの人が、お茶を飲もうとしたとき、ポットからお湯ではなく水が出てきたりすれば、もうプロジェクトの終焉も近いんだなあ、あとは運用停止を待つだけなんだな、そういう印象を持ってしまいかねません。凄く悲しい気持ちになるはずです。「ここは開店休業です。あとは運用停止を待つだけです」という雰囲気にもなってしまいます。
それが嫌で、私自身もお湯を変えていました。とても些細なことですが、プロジェクトは存続している、あきらめていない、というメッセージをせいいっぱい発信、演出していたのです。(pp.158-159)
そうかあ、電気ポットじゃないんだなあ。