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そしたら、なんとなく溜まってしまっていたのだが、3冊をざっと読んだ。
3月号、4月号はいいとして、5月号はちょっと迷ったのだが、「錬金術師」(バチガルピ)の後半が載っていたのと、評論賞優秀賞が載っていたのとで購入。
4月号、5月号所収の「錬金術師」(バチガルピ)は、魔法に反応して増殖する毒イバラが猛繁殖した世界で錬金術師が魔法を使わない対処方法を発明するところから始まる。この研究のために窮乏生活を強いられていたが、これでやっと娘と使用人に楽をさせてやり、再び魔法を使える世界が戻ってくるはずだったが、という話。
いつものバチガルピよろしく環境問題が背景にあり、よってここで魔法は石油なりなんなりの比喩なのだが、さらに一捻りして環境問題とお題目倫理観を利用した抑圧支配体制の確立という、いつも以上に悲惨な展開をしている。
それでも前向きに生きるんだよね、彼の小説の登場人物達は。(そうだ、「第六ポンプ」*1買わなきゃ)
3月号の「雲海のスルタン」(ランディス)は、ランディスらしい金星空中都市の描写が楽しく、しかもこれがきちんとストーリーに絡んでいる。一言で言えば異世界冒険もので、陰謀を暴くお話なのだが、その陰謀がなかなかスケールがあって、ちゃんと背景世界と絡んでいる。
同じく3月号の「火星の皇帝」(スティール)は、SFファン向けの短編。物理法則との戦いという宇宙開発の定番を背景にしつつ、SFが世界を良くするお話。
4月号の「きみに読む物語」(瀬名秀明)は、最近の著者の一連の著作群の流れにある短編。本号が「希望」*2が2011年の上位に選ばれたことに対応した特集で、そこに載せる短編なのだから当然と言えば当然なのだけれど、共感指数(SQ)という道具立てを思いつくのは普通だけど、ひねくれた形で(一応褒め言葉のつもり)読書体験に繋げてしまうのが瀬名流。
楽屋ネタの混ぜ方も相変わらず捻くれてます。
*1:
*2: