k-takahashi's blog

個人雑記用

Sfマガジン2013年4月号

S-Fマガジン 2013年 04月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2013年 04月号 [雑誌]

海外短編3つを目当てに購入。


『コヴハイズ』(チャイナ・ミエヴィル)

ダニッチの村に泊まった数日間、二人はB&Bの女主人から、ここいらで部屋が取れるなんてラッキーだよ、と言われ続けた。ダニッチの浜辺を娘といっしょに歩き、越冬するガンの群れを双眼鏡でみせてやった父親は、そのあまりの重さに笑い出す娘の声を聞きながら、ここがサウスウォルドやウォーバーズウィックでないことにほっとしていた。(p.25)

ダニッチなので、海から何かが上がってくる。描写は怪獣じみているが、その正体は……
いや、確かにこれは怖い。オチも怪獣映画的。


『小さな供物』(パオロ・バチガルピ
バチガルピなので環境汚染が進んだ世界です。読めば『第六ポンプ』*1との関連性はあきらかで、おそらくは同一世界を意識して書かれている。
むしろ、倫理葛藤している場合か、とすら思えるけれど。


『霧に橋を架けた男』(キジ・ジョンスン)
先月号が前編、今号が後編。
有害なうえ、内部に怪物を抱え込んだ「霧の大河」。世界を二分するこの大河を越えるには渡し船を使うしかなく、しかし渡し守達は怪物に襲われて命を落とすのが定め。
そんな大河に橋を架けようとする建築技師が主人公。
この霧の正体が出てくるわけではなく、ストーリーも手堅い(予想通り)に進むので、SFというよりは、土木建築ファンタジーと言った方がよいのかもしれない。
泥臭い描写は多いけれど、谷甲州的な汗臭さがないのは女性キャラクターが多いからかな。

*1:

第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

第六ポンプ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)