- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/02/25
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『コヴハイズ』(チャイナ・ミエヴィル)
ダニッチの村に泊まった数日間、二人はB&Bの女主人から、ここいらで部屋が取れるなんてラッキーだよ、と言われ続けた。ダニッチの浜辺を娘といっしょに歩き、越冬するガンの群れを双眼鏡でみせてやった父親は、そのあまりの重さに笑い出す娘の声を聞きながら、ここがサウスウォルドやウォーバーズウィックでないことにほっとしていた。(p.25)
ダニッチなので、海から何かが上がってくる。描写は怪獣じみているが、その正体は……
いや、確かにこれは怖い。オチも怪獣映画的。
『小さな供物』(パオロ・バチガルピ)
バチガルピなので環境汚染が進んだ世界です。読めば『第六ポンプ』*1との関連性はあきらかで、おそらくは同一世界を意識して書かれている。
むしろ、倫理葛藤している場合か、とすら思えるけれど。
『霧に橋を架けた男』(キジ・ジョンスン)
先月号が前編、今号が後編。
有害なうえ、内部に怪物を抱え込んだ「霧の大河」。世界を二分するこの大河を越えるには渡し船を使うしかなく、しかし渡し守達は怪物に襲われて命を落とすのが定め。
そんな大河に橋を架けようとする建築技師が主人公。
この霧の正体が出てくるわけではなく、ストーリーも手堅い(予想通り)に進むので、SFというよりは、土木建築ファンタジーと言った方がよいのかもしれない。
泥臭い描写は多いけれど、谷甲州的な汗臭さがないのは女性キャラクターが多いからかな。
*1: