- 出版社/メーカー: ジャパンミリタリーレビュー
- 発売日: 2014/06/10
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「航空医学実験隊」とはなにか(小林直樹)
同誌の2013年11月号に『潜水医学実験隊』の記事を寄せている小林氏が、今度は航空医学の研究を取材したもの。
航空機が戦闘に投じられたのが第一次世界大戦からだが、このときイギリスは戦闘機パイロットの死亡原因を調査して、「パイロット人的要因に基づくものが90%で、さらにそのうちの60%が医学的要因だった」という結果を知って愕然とし、身体検査の実施と専門医官の設置で大幅に低減したということが知られている。
昭和32年に立川で「臨時航空医学実験隊」が新編されたのが母体。第1〜4部の4部門から構成されている。
第4部は「加速度や低圧・低酸素環境が人体におよぼす影響やその対処法等について学習する訓練」を実施している。Gをかけたときの体調の変化や、そのときの対処法(腹部や足に力を入れる、など)の訓練、酸素が減ったときや空間識失調の自分の体の状態を理解し、対応する訓練などを実施している。第3部はどういう身体検査をすればよいのかの研究をしている。
第1部、第2部は基礎研究を行っており、コクピットの複雑さがどのくらいの負担になるか、エンジンの騒音はどのくらい影響があるか、薬を服用して任務に臨んだとき悪影響はないか、マルチタスクはどのくらい脳に負担をかけるか、などを研究している。
建造開始!「中国国産空母」(田中三郎)
中国の国産空母の現状分析記事。甲板見取り図も掲載されている。
大連で001A型2隻、上海で002型一隻、が建造中。001Aの一席目は来年進水、2018年就役の見込み。
ロシア系未承認国家「沿ドニエストル」(小泉悠)
ドニエストル川に沿った地域に親露勢力PMRがあり、これの経緯と影響について解説した記事。
1992年6月の時点で既にロシアはこの地域に軍事介入を始めており、今年の5月7日にもロゴージン副首相がPMRを訪問するなど、周囲に圧力をかけ続けている。
自動警戒管制システム(JADGE) (宮脇俊幸)
BADGE,JUDGEと続く空自の自動警戒管制システムについての解説記事。
初代BADGEが1969年運用開始、二代目BADGEが89年運用開始、JADGEは2009年運用開始。
実は、初代BADGEは米空軍のSAGEに続く世界2番目のシステムで、ここで採用されたヒューズ社のシステムがNATOでも採用されることとなった。
JADGEの強化点の一つは米国製のリンク16と国産JDCSがデータ共有できること。命令を伝えるだけでなく、情報共有が重視されていることが分かる。
海上輸送力の裏付けがない「水陸機動団」(文谷数重)
今の想定の水陸機動団を編成しても、それに見合った海上輸送力がない、という指摘。文谷氏は、一個連隊基幹で1500人程度が妥当と指摘している。
「搭載できる量」と「実戦で使える量」は違う(実戦では使う順に並べなければ意味が無い)とか、平面図に車両を並べた図を使って乗り切らないことを解説したりしている。LSTが無いため生地輸送力が足りないとも。
世界最強の電子攻撃機戦力と次世代ジャマー(石川潤一)
米軍の電子戦機と装備の解説。
一昔前は、ECMとかECCMとかECCCCMとか言っていたが、今はEA(電子攻撃)、EP(電子防護)、ES(電子支援)という風に整理されているそうだ。
反攻作戦『中国防空網の破壊』(軍事情報研究会)
台湾有事の際の米軍の反攻作戦についての分析記事。
当面は、米軍戦闘機の主力は第四世代機であり、中国の統合型防空システム(IADS)をこの第四世代機でなんとかしなくてはならない、のだそうだ。
空の防人回想録(3)(鈴木昭雄)
昭和32年度に空自で自己が連続発生、F-86Fが6機、T-33A、T-6Gがそれぞれ一機ずつ事故を起こし、殉職者5名が出た。
このとき原因究明にあたったのが源田司令。地上の支援体制の不足と任務過剰が主な原因で、600項目の指摘があったそうだ。