k-takahashi's blog

個人雑記用

コマンド 117号

特集はレニングラード包囲戦。付録ゲームは1976年の "the Siege of Leningrad"(デザインは、Stephen C.Cole)。
高原武志氏のシナリオ解説記事には、

何より見識だと思ったのは、1941年の北方軍集団の戦いを二つのシナリオに分けたことだった。レニングラードへ直行しようとしたシナリオ1と、ヒトラーの命により、攻勢軸をシフトさせられたシナリオ2である。ゲーマー的にはシナリオ1と2を連結してプレイしたいところだが、ならばヒトラー命令や兵力の転出ルールを用意しなければならない。
(p.4)

とあり、この辺の切り方とシステムの兼ね合いが良いということで今回復刻となったようだ。


対応する戦史記事を大木毅先生が書いているのだが、各シナリオに対応するようにまとめた8ページの力作。戦況図もゲームマップとほぼ重なる範囲という徹底ぶり。


ゲーム比較記事は、鹿内靖氏が「レニングラードが落ちるか?」という観点で有名ゲームを分類している。独ソ戦のゲームでは「モスクワは落ちるか? 落ちたらどうなるか?」というのが重要なファクターだが、レニングラードはどうだろうか。
頻繁に陥ちる『ロシアンキャンペーン』は、レニングラードセヴァストポリも落ちやすいゲームで、南北で前進し中央(モスクワ)を狙うというヒトラーのバルバロッサ構想に沿ったもの。
あまり陥ちない『ロシアンフロント』は、北部にはVP対象とした少ないためそもそもレニングラードは対象になりにくい。但し、セヴァストポリも陥ちないので、攻勢は中央から南部が中心。
まず陥ちない『イーストフロント』は、モスクワとレニングラードの両睨みが成立しない。一方、中央と南部の両睨みは成立する。要塞効果もあって、レニングラードは陥ちない。
たまに陥ちる『ノー・リトリート』は、1枚しか無い「列車砲」イベントをレニングラードセヴァストポリのどちらに使うかという選択。一般に南部に投入される。


『萌えミリブームがボード・ウォーゲームに与えた影響のすべてについて教えましょう」という編集部による記事が、4ページという分量(1〜2ページくらいだと思うよね)興味深かった。
ねとらぼの艦これ記事で日本機動部隊が紹介されたことで、注文が集中した昨年12月のことも。
ただ、

『艦これ』をプレイすることで、かつてボード・ウォーゲームを楽しんでいたことを思い出し、ねとらぼの記事などでまだ存在することを知って、そこで紹介されている作品、あるいは思い出のゲームを購入しているのではないかと分析する。
(中略)
100万x6.6%の100人に1人がボード・ウォーゲームを回顧してくれたと思うと、かなり生々しい数字になる。
(p.36)

とか、

萌えミリ・ブームがボード・ウォーゲーム市場を刺激することはあっても、直接的に拡大する可能性は極めて低い。萌えミリが好き、キャラクターが好きで、その元ネタや背景設定に興味を持ち、関連書籍を読んで(多くのユーザーはここでキャラクターへの愛を深めて反対側のベクトルへ向かう)、それによって戦史に興味を持つようになり、ボード・ウォーゲームという遊びの存在を知ってはじめて、図の障壁を乗り越えられるのである。
(p.37)

とか、ビジネスの観点からはあまり手放しで喜んでばかりもいられないということのようだ。
もちろん、単に手をこまねいていてもしょうがないのは分かっているのだろうけれど、具体的にどうしたもんだろうかな、とは思う。正直、私もあまり「萌え」を上手く使えないロートル人間なんで(白状すると、ゲームマーケットで『ぱんつぁー・ふぉー』のイラスト見て引いたし、艦これTRPGもやってみたけど趣味には合わないと感じた)、ここのところはノーアイディア。


他に、萌えミリ以外のコマンドの方針も面白かった。

  • アイテム毎の完全黒字化を狙い、発刊後1年以内での完売を目指す
  • JWCは例外で、採算度外視で安定供給を狙う
  • ボードウォーゲームの旬は、発行後半年
  • 日本機動部隊だと、半年経過後は、年間100個弱の販売数となる見込み