k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2015年3月号

軍事研究 2015年 03 月号 [雑誌]

軍事研究 2015年 03 月号 [雑誌]

陸自「開発実験団」の新たな挑戦!(小林春彦)

開発実験団は、以前紹介されていた陸自研究本部に隷属する。
その役割は、要求性能を決め、評価基準を定めることにある。記事中では「出発点」であり「最後の砦」という表現をしていた。防衛省自体は工廠を持っていないので、民間企業との協力も重要。

部隊取材:陸自第12ヘリコプター隊(石川潤一)

御嶽山派遣は、人員600名、車両130両、航空機17機が災害派遣されたが、その中の航空機(ヘリコプター)を担ったのが第12旅団。第12旅団は陸自唯一の即応近代化旅団で、空中機動性を強化した部隊。その中にある第12ヘリコプター隊の記事。
巻頭カラーページに『アッシュ&ウォッシュ』。御嶽山噴火に災害派遣されたヘリコプターの写真があるが、火山灰がすごい。これを毎日清掃・整備するのだから支援部隊も大変だ。
記事中では、単発のOH-6Dの運用に気を使ったことや、ヘリコプターに付着した火山灰が固まりそれが落ちることを懸念して飛行コースを決めたりといった苦労も書かれている。

恐怖のノドン・ミサイルがソウルを襲う(能勢伸之)

北朝鮮のノドンがソウルを狙うとして、ロフテッド軌道という方法を使うと迎撃時間を極端に短くすることができる。現在の韓国の迎撃システムが届かない超高高度を飛ばすという方法。
これに対抗するのにTHAADシステムがあり、これなら遙かに防御力が増す。で、これに反対しているのが中国、という構図。要はレーダーシステムの強化が中国にとって不都合だということ。
この辺は当然日本にも関わる話で、検討はこれからのようだ。

新連載「アメリカ海軍vs中国人民解放軍」(4) (軍事情報研究会)

米中日のミサイル能力の比較記事。
米軍艦艇の対艦攻撃力が意外と小さいことが書かれている。(もちろん、空母艦載機の仕事だという割り切りだろうが)
記事中では、ミサイルの重量×射程距離で能力を概算しようというものだが、これで能力が測れるのかどうか記事を読んでも判然としなかった。(艦砲の能力ならそれで良いと思うけれど、ミサイルをそれで測って良いのだろうか?)

空の防人回想録(11)(鈴木昭雄)

今回はF-15導入について。
結局30年使い続けることができて、さらに最先端機に触れたことのメリットも大きかったという評価のようだ。
当時は「量から質へ」と切り替えての折衝だったそうで、さらに買い方も工夫が必要で、年度の取得機数を少なくし長期平均化を図るとしたのも当時の工夫。

「軍事ドクトリン」最新バージョンを承認 (小泉悠)

2014年12月にロシア政府が「軍事ドクトリン」の最新版を発表した。その解説記事。
面白いのは、発表に先立って軍事顧問のユーリィ・バルエフスキーが発表した論文の一部。

核抑止力が作用しない脅威が出現している。国際的な非合法武装勢力を用いて非暴力的な手段で現在の国家システムを転換し、国家の領域的一体性を破壊する米国流の「非直接戦略」がそれであり、ウクライナで怒っていることはその最新バージョンである。これに対抗すべく「非核抑止力システム」を持たねばならない。(p.199)

おまえが言うな、と思うがロシアがどういう風にウクライナ侵略を正当化しているのかが伺える。
ただ、小泉氏はそこに留まらず

ロシアが「新しい戦争」を西側による陰謀と見なし、脅威視しているのであれば、NATOに対する脅威認識のレベルは何故変化していないのか(p.205)

という分析もしている。この辺の分析は更に必要なのだろう。

無人ヴィークル最前線(3) 対潜水艦戦UUV(井上孝司)

今回は「対潜水艦戦」の無人機の利用。
人的損害を抑えられ、小型化できるというメリットは沿岸海域での対通常潜水艦に有効となる。が、沿岸地域は敵潜水艦以外の船舶も多く衝突回避が大きな課題となる。さらに無人機を潜水させると、海中で遭難したりする場合の対策や、位置検知、通信確保なども難しい。
結局、水上艦や航空機などとの連携をきちんと組まないと有効戦力にはならないということのようだ。
例によって米軍は色々なテストを行っており、ACTUVという無人水上船によるもの、LDUUVという大型無人水船を使ったもの、さらにDARPAは外洋における潜水艦監視のDASHというのをやっている。
攻撃はまだ無理というのが井上氏の見解のようだ。

用兵思想を知らずに戦術を語るべからず(1) (田村尚也)

用兵思想史の入門連載記事の1回目。
100年戦争あたりからフリードリッヒ大王あたりまでの期間が対象で、戦術・武器・後方(金)といったものが絡まり合いながら変化していく様子が分かる。
この辺を全然知らない人は少ないと思うが、整理した記事は大事。