k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2015年6月号

軍事研究 2015年 06 月号 [雑誌]

軍事研究 2015年 06 月号 [雑誌]

ロシア前線空軍戦闘機「PAK FA」(竹内修)

ロシア初の第五世代戦闘機 PAK FA(T-50)の紹介記事。飛行性能ではF-35を上回り、輸出計画も進んでいる。
最大速度にこだわりがあるためか、既に次世代エンジン(イゥデリイェ30)の開発にも着手している。
ただ、PAK FAMILYの開発が難航し、またこれを補完する必要もあることから、Su-35Sの導入が決まっている。これに目を付けているのが中国。ただ、目的は機体よりもエンジン(AL-41FS)らしい。

「PAK-DA」ロシアの超音速爆撃機(大塚好古)

ロシアは爆撃機も拡充している。現時点では、Tu-160ブラックジャック)が16機、Tu-95MS-6/16(ベアH)が62機、Tu-22M(バックファイア)が63機。
こちらも新型機(PAK-DA)の計画が進んでいる。例によって情報公開は少ないのだが、亜音速全翼機で100~120トンクラス。ほぼバックファイアと同じサイズというのが有力。

プーチンがちらつかせる「核のサーベル」(小泉悠)

ウクライナ侵略関連で「核」による恫喝を発表したのが3月。その背景を解説する記事。
同じ3月にロシアが実施した「抜き打ち検閲」は、五つの統合戦略コマンドのすべてが動員されたという規模の面、核使用が意識されている(SLBMも演習に参加している)面、しかも核使用が演習の早いタイミングだったという使用時期の面、さらにそのことを外交武官にブリーフィングしたことなども含めて、『先制核攻撃シナリオのプレイアップ』(p.52)だった可能性が高い。
小泉氏は、ロシアの過去の核使用基準が最近のロシアによる核脅迫と矛盾していることから、基準が変わっている可能性も示唆している。

ボーイング社が初公開!対空ミサイル一六発搭載(石川潤一)

中国の軍拡に対応するにはどうするか、というのは日本の大きな課題。
その方法の一つがF-15の改修。機体が大きくステルス性も低いF-15を無理矢理空戦に投入するよりは、大きな機体を活かしたミサイリヤー(ミサイル発射母機)と運用した方が良いというアイデア。CFTTの下に二股ランチャーを4つ付けて8発、翼下の8発と合わせて16発、というものp.78に写真が載っているが、なんかゲーム画面みたい。

次期中期防で登場!将来戦闘機、E-2C後継機(小林春彦)

空自の新型航空機の状況まとめ記事。
上記の記事にもあるが、F-15をどうするかは課題。中でも近代化改修(MSIP)対象外の機体をどうするか。記事では、F-35Aに代替することを感が得ているとしている。これでリージョナルデポの強化もしたいという意図。ただ、単一機首への過度の集中を避けるべきとの意見もある。
そこで、非MSIP機をとりあえず機能向上させ、後日F-2後継機(将来戦闘機)で更新という案が出てくる。これはF-35Aよりも制空戦闘機としての色彩が強くなる。
E-2C後継については、E-2Dに決まったわけではなく(26中期防における早期警戒機一個飛行隊新編に伴う増強分)、後継機の検討は続く。記事では、P-1を母機とした国産AWACSと想定している。

無人戦闘用機はテロハンターに過ぎない(井上孝司)

無人戦闘機の課題についてのまとめ。「敵対的環境」(対正規軍といった防空能力の高いケース)での実用性、混在環境での運用ノウハウといったあたりがまず不足。
井上氏は以下のように課題を整理している。「空域共有・衝突防止」「ターゲティング」「敵対的環境下での通信維持」「敵対的環境下での測位・航法」「空中給油」。
加えて現場の抵抗というのもあるが、これはまあ何度も繰り返されたことなので、どこかで大敗を喫することでしか変わらないだろうな。

雪中の日米共同訓練 変わる自衛隊の演習:後編(菊池雅之)

12月のフォレストライトの共同訓練。陸自隊員がオスプレイに乗ったり、海兵隊員が陸自のCH-47JAに乗ったりと、こういう体験は重要らしい。
1月のフォレストライト02は、岩手県で実施。雪が初めてという海兵隊員もいるそうだ。

空の防人回想録(14) (鈴木昭雄)

上の別記事にも関連するが、共同訓練の齟齬(有事でデフコンを上げても国がまったく対応しない(できない)ので、訓練がおかしくなるとか)、高速爆撃機対策が難しい(バックファイアが重要ターゲットだったエピソードが、指令所での動きと合わせて紹介されている)。
いわゆるシーレーン防衛の頃、『アメリカに頼まない限り、カムラン湾の場ジャーは抑えられない、と考えていました」(p.160)だそうです。

ここまできた最新の魚雷防御システム(多田智彦)

魚雷もミサイル同様にハードキル・ソフトキルの2種類がある。現状では大半がソフトキルでハードキルは研究開発中。それらの紹介記事。
ニキシーSLQ-25、ソナー2170/シー・セントーSSTD、SLAT、C310&C303/S、ATDS、ロキ、コントラルト/カント、SQK、音響デコイ曳航具三型/四型、OLQ-1、あたりがソフトキル型。海自は、三型、ニキシー、四型、OLQ-1と使ってきている。

イスラムテロ

流行期に入った『イスラム・テロ』(黒井文太郎)と『徹底封鎖!『イスラム国』壊滅作戦』(村上和巳)は、イスラムテロ・イスイス団の現状分析記事。イランはじめ、中東の国々がまじめに対策しないとダメだろうというのが分かるが、期待薄かも。