Newton(ニュートン) 2015年 12 月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートン・プレス
- 発売日: 2015/10/26
- メディア: 雑誌
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研究・開発の経緯(大村先生なら、発見、副作用対策、働きの解明、実用。梶田先生なら測定結果に「におい」を感じ、仮説を立て、観測を継続し、実証する)が分かりやすくまとめられている。
記事中に「観測される太陽ニュートリノの数が、予測の3分の1しかない」(p.32)というのがあったが、クラークの『遙かなる地球の歌』がその設定を使っていたな、と思い出しググってみたら、
作中では、太陽から飛来するニュートリノの数が理論値よりも少ないことを発端に、太陽内部で異常が起きていることが判明します。太陽がノヴァ化する原因が表面に現れるまでには時間がかかりますが、ニュートリノの観測でそれを事前に察知したということですね。
遙かなる地球の歌: Manuke Station : SF Review
実はこの「理論値よりも少ない」という部分、フィクションではありません。太陽ニュートリノ欠損問題と呼ばれ、長らく物理学者の方々を悩ませてきた謎です。現在ではニュートリノ振動によるものと決着したようですが、かつては実際に「太陽内部で核融合反応が止まっているのではないか?」という説も存在したようです。
というのがあった。
酵素
特集は「酵素」。『酵素とは、化学反応を効率よく正確に起こすことができるタンパク質』(p.37)という定義の説明に始まり、消化・殺菌・解毒といった作用の説明、酵素の作られ方・働き方(なぜ消化酵素で人体は分解されないのか。酵素の働く対象とPHで巧みにコントロールしている)、酵素の連係プレイなど分かりやすい説明。
QAのところに、『お酒が弱くても、飲み続けるとお酒に強くなるというのは本当か』というのが出てくる。
これに対して、上述の説明を受けて、アセトアルデヒド分解酵素は遺伝的に決まるのでこれを鍛えることはできない、毒素分解酵素(MEOS)は過剰な飲酒を起こすと増加するが、これは肝臓に大きな負担をかける、という説明をしている。飲めない人間に向かって「鍛えてやる」というのが人殺しだというのが分かる。