![軍事研究 2016年 01 月号 [雑誌] 軍事研究 2016年 01 月号 [雑誌]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51f4b8wY0pL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: ジャパン・ミリタリー・レビュー
- 発売日: 2015/12/10
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『平和安全法制』と海上自衛隊(山崎眞)
安保法案の成立で海上自衛隊の活動がどう変わるかという解説記事。元海将の山崎氏によるもの。
法律自体ではなく、それを踏まえた海自の活動について。
法律面では、平時・グレーゾーンにおける対処要領がそのままというのが課題。
「平和安全法制」を正しく理解するための八項目(福好昌治)
では、法制で具体的に何が変わるのかの解説記事。
当初から言われていたように、これで何か大きく変わることはない。
平成二六年度防衛省中央契約についての考察(濱尾玲基)
26年度の中央調達契約相手のまとめと簡単な分析。
米政府(FMS)が第3位で、これは装備だけでなく教育・訓練も含まれており、ここからも米軍に頼る部分の大きさが分かる。これが増えすぎると国内への影響が出てきてしまう。
エンジンの研究開発(342億円)もある。いかにも少ないが、これがひっかかると戦闘機の将来に暗雲が出てくることになる。
イスラム国が仕掛ける対欧州全面戦争(黒井文太郎)
イスイス団関連の関連諸国の最近の情勢分析。
10月のロシア民間機(当初、ロシアもエジプトもテロ説を否定していたが、その理由)、パリテロ、ベルギー(ベルギーの武器市場というのはビジネスの話であって、テロリストの武器調達とは別)、日本でテロが起きるか、など。
なお、日本は、ターゲットとしての価値が低い上に実行が難しいので主なターゲットになる可能性は低い。但し海外にいる日本人が巻き込まれる可能性はある。
で、ロシアが便乗していろいろ、というような状況。
シリア空爆作戦、ロシア中東介入の第一歩(小泉悠)
ロシアのシリア内戦空爆の軍事面からの分析。
例のトルコ侵犯撃墜事件についても、度重なる侵犯があっての上で、西側を追い出そうとした行為を重ねていたことが書かれている。
海兵隊と一体の大遠征艦隊:新強襲揚陸艦『アメリカ級』(軍事情報研究会)
米海軍の「揚陸即応群」の解説。
強襲揚陸艦が小艦隊を編成して行動するのだが(強襲揚陸艦:LHD/LHA、輸送揚陸艦:LPD、ドック型揚陸艦:LSDの3種セットが基本)、これが場合によっては空母打撃群の代役もつとめるようになってきている。昨年のパリテロ対応にも空母ではなく揚陸即応群が派遣された。
これも色々揺れながら進められていて、装備、特に航空機の大型化に対応するためにウエルデッキをなくしてみたり、さすがにやりすぎたと思って戻してみたりしている。(もちろん、航空機運用能力は必須だし、航空燃料も必要。アメリカ級強襲揚陸艦の燃料タンクは正規空母の37%分もあるそうだ)
航空自衛隊のトップ『航空幕僚長』に就任(鈴木昭雄)
鈴木元空将の回顧録の21回目。平成に入ったあたりの話。
国際貢献について「こんな大事なことが、その他任務でいいのですか」と主張したと書いてあるが、そりゃそうだ。
諸兵科共同戦術と防御/攻撃戦術(田村尚也)
用兵思想解説連載の6回目。19世紀終盤から一次大戦あたりの話。
19世紀後半に火力が増大したのは分かっていたが、それが攻撃・防御どちたに有利に働くかについては論争があった。
面白かったのが日露戦争の教訓。通俗的には「日本軍の精神主義。機関銃の防御力を教訓にしなかった列強」というのがよくあるが、とうじ精神主義が流行っていたのはむしろフランス。政治的事情(第三共和政)から軍事エリートを中心にした軍事力というのが望まれず、愛国心(精神)が有力という話の方が好まれた。戦訓を軽視したというのは事実のようで、旅順要塞戦も奉天戦も「突撃が成功した」という扱いだった。