- 出版社/メーカー: ジャパン・ミリタリー・レビュー
- 発売日: 2016/09/10
- メディア: 雑誌
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北朝鮮化学兵器が東京を襲った日(小林直樹)
冒頭にマスタード剤を浴びた兵士の顔のアップとちょっとセンセーショナルな感じの記事。中身は、北朝鮮の生物化学兵器のまとめ。
『化学兵器の使用は戦場となる朝鮮半島、生物兵器の使用はアメリカ軍の策源地である日本列島となる可能性が高いと言えるだろう』(p.38)
可能性が高いとは言えないが、見積もりと対応検討は必要な段階には来ているということなのだろう。
実効性疑わしい!陸自救命ドクトリン(照井資規)
陸自の戦場救命ドクトリンと装備品のレベルが低い、という分析記事。
先日の相模原の障碍者施設殺傷事件では、平時ですら10名単位での重傷者が出たら対応が破綻してしまうことが明らかになった。そして有事となった場合の陸自も対応しきれないだろうというのが作者の分析。特に『10分・一時間』が現実的でないことが問題。
ドクトリンを根本的に改め、教育・人材育成・法装備整備などの必要性を訴えている。
陸自が22年間で育成した救急救命士がわずか450名というのはちょっと驚いたが、別の方法で人材を確保しているのだろうか?
空自兵器の可動率維持を妨げるもの(吉岡秀之)
抑止力を維持する一環としては、軍隊がきちんと機能することが必要。作者は空自を例にとって稼働率維持についての問題を分析している。
指摘している問題点は、1)部品の在庫不足、2)入札手順の硬直化、3)共食い整備による急場しのぎ、4)部品の品質と取得リードタイム、5)部品の官給の遅延、の5つ。
「軽装甲機動車(改)」と「軽偵察警戒車」(岩本三太郎)
両車両ともに調査研究のレベルに留まっている。
著者が指摘しているのが、「2000両近い軽装甲機動車の更新が目的なのに、なぜ55機しかないCH-47J/JAへの機内搭載に固執したのか」というところ。自衛隊側の目標設定(情勢変化を読み、対応する力)への疑問に繋がりかねない課題。
「リムパック16」取材記 子供か!? 中国海軍の自衛隊イジメ(菊池雅之)
中国がリムパックで相変わらずの反日工作をしたのは通常メディアに報じられていた通り。実は、韓国もメディア取材を拒否していたと菊池氏は書いている。中国様に合わせたのか、調整不足なのかはわからないけれど、困ったものだ。
一陸上自衛官の回想(6)(松島悠佐)
有事法制関係の話が中心。湾岸戦争の頃に、物資供給、広報支援、掃海などが検討されたが、当時防衛部長だった著者が何を考え何を言ったかが書かれている。(翌年、湾岸戦争終了後の掃海が第一号となる)。総理が「丸腰の自衛隊で」と言ったのに著者は反対の立場だった。
国際平和協力法案審議の最中に「自衛用対戦車ミサイルや対空ミサイルぐらいは携行させる必要がある」と私が発言したことについても、「これは問題になるから全社ともオフレコにしましょう」と気を使ってくれたのは記者諸君の方だった。私は「その必要はありません。自衛隊がでるということはそのような覚悟が必要なのです。そのことを国民の皆さんにも理解してもらいたいので、記事にして構いません」と申し上げた。(p.161)