k-takahashi's blog

個人雑記用

ふたりの怪異探検ファイル

ネット怪談×異世界探険
「検索してはいけないもの」を探しにいこう。

いわゆる都市伝説(ネット怪談と書いているが、同じようなものだ)が本当だったら、という探検もの。短編が4作で、3つは雑誌発表済みで、一つが書き下ろし。SFマガジンに載ったときにちょっと話題になって気にしていたのだが、早々に単行本になってくれてなにより。


昔「流行り神*1というコンピュータゲームがあった。都市伝説ネタを扱っていて、オカルト的な決着と科学的な決着のマルチエンディング形式だった。
本書の場合は、その中間あたり、SF的にオチがつくあたりに落とし込んでいるのが面白いところ。怪談にそれなりに理由を付けるあたりは、『クトゥルフの呼び声』のシナリオ的でもある。
世界の謎がどうこうというのは、もう少し先の話なのだろう。まあ、続編出そうだし。


4つの短編のネタになっているのは、「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」「時空のおっさん」。
ネット怪談を扱うという設定からくるのか、主人公の二人(紙越空魚、仁科鳥子)の性格がかなり歪んでいるのも面白い。アドバイザ的な位置に来るもう一人(小桜)も合わせて、腐れ縁的なやりとりも楽しめる。女子大生二人でこういうのもできるんだねえ。


『表紙に動物の描かれたコンピュータ本』(No.653)とか『神保町、書泉グランデの一階で文庫の新刊を』(No.781)とか、クスリと来る描写も。