- 作者: 山田太郎
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/11/17
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
なぜ今まで上手くいっていなかったのに、今回に限って「ネット」があれだけ票を集めることができたのか、というのが世間的には一番大きな関心事であったのは間違いない。山田氏のところにも「落選後」多くの取材や問合せがあったという。
選挙後に官邸に呼ばれて「今の政治が、若者の声を受け取れていない」という話をしたというエピソードも紹介されている。一方、一部のメディアには何度山田氏が説明しても「ネット」や「若者」を理解して貰えなかったという落胆も書かれている。
で、具体的に山田氏がどういう工夫を重ねてきたか、それらが(失敗、成功の両面から)かなり具体的に書かれている。要は、「皆さんもやってください」ということなのだろう。ウェブ的な言い方をすればOSS化とでもなろうか。そうやって、若者の声、ネットの声を正しく受け取って政治に活用してくれないと日本の将来のためにならない、と言う辺りは山田氏の強い問題意識なのだと思う。
背景には若い世代と上の世代の価値観の違いという、さらに大きな社会課題があると感じている。今、世代間の価値観の違いは広がっていく方向にあるが、この溝を埋めないと政治も経済もうまく機能していかない
(No.759)
維新の会に一旦入党しながら翌日離党した件についても説明があり、
埼玉から出馬する代わりに表現の自由を守るための活動を全国的に展開することを事前に了承して頂き、入党を決意した。
だが入党路、全国行脚はせずに、選挙前の政治期間中も埼玉での運動に集中せよという話になった。
(No.908)
ということだとしている。
山田氏は、もちろん表現の自由の専門家として知られているが、氏はそれ以外に
議員として「児童養護」「障がい者支援」「製造業振興」にも勢力に取り組んできた。
(No.985)
ということもやっており、こちらも解説がある。
29万票についても、「もっと取れる方法があった」という分析があって興味深かった。
得票数を分析したところ、首都圏以外へのアピールが弱かったこと、また当然氏の若者からの支持率は高かったのだが、それならば若者の投票率を上げる活動を強化すればもっと得票数も増えただろうということになる。
(実は大学進学のため上京している学生には住民票を地元に残している人が少なくない。彼らが投票しようとすると現在は非常に面倒。そう、ネット技術でこれは解決可能なのである。)
ネットを無視することはできないということ自体はトランプ現象が強烈に見せつけたが、同時に「現在の政治は自分たちの声を聞いてくれない」という不満が広がっていることも分かった。
そういう観点では、山田氏の危惧が異国において悪い意味で当たってしまったということでもある。
そして既存メディアを中心に、「ネットをもっと正しい場所にしよう」という声が上がっている。デマを減らす努力は当然必要であり、それを否定する人は少ないだろう。
だが、私には、そこに根本問題である児童虐待への対策を取るということをやらずに、気に入らないマンガやアニメを弾圧して「健全な文化を作ろう」とする連中と同じパターンも見えてしまう。
まだまだ山田さんにはやって貰わなくてはならないことがある。