k-takahashi's blog

個人雑記用

エピソードハイスコア: ゲーム黄金時代

エピソードハイスコア: ゲーム黄金時代
リミテッドシリーズ
公開年: 2020

誰もが夢中になった、あの懐かしいビデオゲーム。その輝かしい歴史と、ゲームの世界やキャラクターに命を吹き込んだ革新者たちの熱い思いに迫る。

ハイスコア: ゲーム黄金時代 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

 Netflixで公開されているドキュメンタリー。40~45分x6エピソード。ざっと鑑賞。

練って作った番組というわけではないが、インタビューとか当時の映像とか面白いし、あとあくまでもアメリカ人視点なところも色々新鮮。

 

1. ビデオゲーム革命

西角友宏氏のインタビュー(敵キャラが、戦車→兵士→エイリアン、へと変わった話)、ハイスコアの導入により「FLOW」が促進されたというちょっとした言及(軽く触れるだけだが、スコアによる競争というのはこのあと何度も出てくる)。岩谷徹氏もパックマンネタで登場。
当時の全米のインベーダー大会がテレビで放映されたことを、当時のチャンピオン Rebecca Heinemanが語っている。
ミサイルコマンドの改造の話(MITの学生(Doug Macare, Steve Golson, Mike Horowitz)があって、これはMITの寮に設置したマシンのインカム増加の為に難易度を上げるためのもの。これをアタリが訴えた(最終的には和解)。ここでブッシュネルが登場。かなり攻撃的な性格を窺わせるインタビューになっていた。改造の話もこのあと何度か顔を出す。

面白いインタビューが2つあって、一つがゲーム機「ChannelF」のデザイナJerry Lawson(の子供とお孫さん)が登場するもの。カートリッジの発明者という位置づけ。
もう一つがScott Washaw。アタリの「ET」を作った人。5週間で作れ、と言われて無理矢理間に合わせた辺りのエピソードを語っている。スピールバーグに直接プレゼンして、最終確認もしたということも言っているけど、結構いい加減だったのね。当時のスピルバーグ

 

2. アメリカンドリーム

80年代後半の任天堂のゲーム機(NES)売り込み関係の紹介が中心で、Gail Tilden(当時の任天堂アメリカの広報責任者)、大会参加者のJeff Hansen、ゲームカウンセラーのShaun Bloomなどが登場。
アメリカで受けそうなデザインに直したりという苦労もあったのだが、面白かったのがサポート。電話でゲームのアドバイスをする「ゲームカウンセラー」というのがあったのだそうで、それをやっていたのがShaun。
あとからゲーム雑誌というのが出てきて、そこで攻略情報を載せるようにしたという。つまり、この番組が言うには、ゲーム攻略サポートの手間を減らすためにゲーム雑誌を作ったというのだ。ちなみに、この「Nintendo Power」というオフィシャル誌、1988年創刊で320万部だったそうな。


あとは、ドンキーコング訴訟。そして、全米ツアーとかのプロモーションの話も色々と。

 

3. ロールプレイング

RPG紹介の回。
アドベンチャーゲームのColossalCaveを紹介し、それに触発されたRoberta WiliamsがMystry Houseを作るエピソード(レストランで殺人事件の話を延々したそうな)。
リチャード・ギャリオットのインタビューもたっぷり。
この番組では、RPGを自分でキャラが作れるところを重視していて、アメリカってそういうの好きだからなあ、と思った。(FFもゼルダも違うんだよね)
もう一つ、Robertaやリチャードが画期的だったのがグラフィックの投入。もちろん、Apple IIだから今の目で見ればたかが知れているけれど、当時としては本当に画期的だった。

RPGの広がりという観点から、ゲイカルチャーを主人公にした「GayBlade」というゲームの紹介をしたり、Ultima IVのアバターの話を出したりして、現実世界との関わりをアピールしていたのも、ちょっと面白い視点だった。

 

4. ゲーム機戦争

ここで扱っているのは、1990年前半のセガの北米市場攻略の話。ようはソニック
SegaOfAmericaのCEO Tom Kalinski、セガのゲーム大会のチャンピオン Chris Tang、
EAの創設者としてTrip Hakinsも登場。

北米市場のためにはマリオの対抗が必要ということで、ソニックを生み出す話。これは日本でもよく知られている。

スポーツゲームについては、パソコン用に "John Madden"を作ったエピソードを紹介。これをゲーム機に移植することにした。

Kalinskiは、「価格、キャラクター、スポーツゲーム、Coolさ、比較広告」の5つの要素が大事だと言って、それを日本側も認めて実行。これで確かに成功した。

サターンが出た後の1995年、セガが日本でよく分からないプロモーション作戦をとって結局失敗に終わるのだが、このエピソードを見ると、ジェネシスメガドラ)売り込みの成功体験があってそれをあまり考えずに持ち込んでしまったんだな、というのが逆に納得できた。

 

5. 格闘ゲームの新時代

カプコンの西谷亮、安田朗の両氏が登場。世界市場を意識してスト2を作ったという辺りで、これは日本でもインタビューとかになっている話。主役としての女性キャラ春麗というあたりも。
当時の両国国技館でのスト2大会の映像に合わせて中野貴博氏も登場。今はeSportのチーム作りをやっていて、トレーニング風景も出てくる。

 次がモータルコンバット。スト2の表現がマンガなら、モータルコンバットは映画、というところ。John Tobias等は面白がって作っていたが、よく知られている通り、これが「良識派」に見つかってしまい、大問題になる。
当時もう一つ目の敵にされたのが「ナイトトラップ」。ところが、このナイトトラップ、ハスブロの上層部から意見を付けられまくって当初想定とは全然違うものになってしまった、とJim Rileyがひたすらぼやくシーンが愉快。当初は、スタイリッシュなニンジャが暗躍していたのだそうで。

 

6. レベルアップ

アルゴノート社のDylan Cathbertは、ゲームボーイを改造した3Dゲームを作る。これが任天堂の目に留まりスーファミのFXチップを使った「スターフォックス」を作ることになる。ひたすら宮本茂を持ち上げまくる解説が入り、彼らの技術と任天堂のデザインが組み合わさってゲームは完成。Dylanらは、動物キャラはあまりクールでないと思っていたようだ。あと、カメラワークもかなり苦労したらしい(軽く触れているだけだったが、これ当時から難題だった)
ただ、3Dは任天堂ではあまり大成せず、メインはPC側。

John RomeroとJohn  Carmackが、スムーズスクロールとネット対戦をDoomで実現して大評判となる。さらに、Doomの改造を許可したことで、大きな広がりが出てきたことを紹介している。

このエピソードでも、改造の話題が度々でてきて、この辺もアメリカだなあ。