k-takahashi's blog

個人雑記用

怪獣生物学入門

 

 著者の倉谷滋先生は形態進化生物学者にして、怪獣ファン。学者の目とファンの目をごちゃ混ぜにして色々と語っている一冊。
正直なところ、構成とかはあまりなくて、漫談的にネタを色々と語っている印象を受ける。なので、生物学と怪獣と両方に関心がないと、何を言っているのか分からなくなるのではないかと思った。

 

初代ゴジラが明らかに恐竜を意識していたのに対し、それが次第に恐竜から離れた怪獣となっていく(哺乳類化)という辺りの分析は、恐竜の研究の変化をあえて追いかけなかったことや、ビオランテシンゴジラのようなバイオテクノロジーの取り込みを進めたことと重ねて説明しており面白かった。怪獣の位置づけは、その当時の科学的知見とそれを「お話」としてどう取り込んでいるか(いないか)で変わってくるというのは、怪獣映画というジャンル自体の見方になっている。

 

キングギドラのデザインが、ハリウッドだとやはりドラゴンになる(ツノとか鱗とか)という指摘も面白い。

表紙帯の「乱杭歯」の分析(シンゴジラがデザインされた怪獣だとすれば、わざわざ乱杭歯にする必要は無いはず)とかの指摘も楽しい。怪獣映画を否定するのではなく、違いを楽しむ姿勢なのでその辺はご心配なく。

 

タイトルと違って、怪獣だけでなく寄生獣アバターなんかも出てくる。