k-takahashi's blog

個人雑記用

夢みる葦笛

 

夢みる葦笛

夢みる葦笛

 

 『華竜の宮』の上田早夕里の短編集(全10編)。異形な生き物を扱っているというのが共通テーマかな(『上海フランス租界祁斉路320号』だけ、ちょっと違うかも)。

その「異形」と関わることで浮かんでくる「人とは?」というのが面白いところ。

 

音楽を奏でる白いイソギンチャクのような生物イソア、依り代を求める知性体、小型の脳髄しか持たないシム、土星探索用AI、地下都市出身の人型の獸、シリコン系飛翔生物プテロス、人口幽霊メモリアル・アバター、宇宙探索用人口知性バニラ。

 

個人的なお気に入りは『アステロイド・ツリーの彼方へ』。この展開はオールドスタイルの宇宙SFから受け継がれたテーマだけど、まあ、いいよね。バニラのキャラも良い感じ。

バニラもそうだけれど、人工的に設定された人格というのも何度か出てくるモチーフ。そういった読み比べ的な楽しさもある短編集。