現代風俗研究会が発行している会誌。風俗といってもお色気系のことではなくて、風習の方の意味。ゲーム特集ということで読んでみた。
クレーンゲームが日本のゲームセンター文化にもたらした変化(ボトス・ブノワ)
実はゲームセンターの売上ではビデオゲームや音楽ゲーム(売上数百億)に対して、クレーンゲームの売上は2千8百億と圧倒的だったりする。そのわりに軽視されているのだそうだ。本論文で面白かったのが、ゲーセンの店員の役割。確かに、機械と景品はメーカーが用意するが、それを「配置」したり、お客さんとやりとりしたりする店員さんの役割は大きい。そういう店員さんとのやりとりも「ゲーム」の一部と捉えている。
非デジタルメディアにおける多人数参加型ゲーム(松井広志)
蓬莱学園の柳川(新城)さんのインタビューを中心に特徴をまとめている。プレイヤーの数は3500人と書いてあるが、もうちょっと多いと思ってた。
ユーロゲームの誕生と消失(沢田大樹)
西独の現代ボードゲーム市場が政策的に作り出された面を持つこと、そのためマス向け市場がホビーゲームを包摂するかたちになったこと、それが乖離しつつあること、とまとめている。IPが欲しくて産業政策的に始めたのだから、ある程度強いIP(定番商品)が手に入れば、そりゃ変質するのは無理もない。
麻枝准への村上春樹の影響というのはまあ分かるとして、そこから「80年代の文化的文脈」はさすがに飛躍してないか?
ゲーム依存の社会的背景(加藤裕康)
「ゲーム依存」ではなく「ゲーム依存問題」についての社会的背景の考察。科学的根拠ではなく政治的・イデオロギー的に作り出されたのだという指摘は色々されているが、本論では、「依存」問題の扱いがふらついている背景説明の部分が面白い。