1930年生まれで、父親はエリート銀行員、子供の頃は祖父の屋敷で過ごしている。そして、226事件の収拾に奔走する祖父の姿を見ている。良くも悪くも戦前のリベラリストの気風を強く持った人であったようだ。
岡崎氏の著作は色々あり、本書は半世紀であり、半生記でもあるという位置づけで色々と書かれている。面白かったところを幾つか。
公職追放というのは占領軍最大の悪政です。(p.33)
苦労した人が、さらに占領軍に虐められているのを目の当たりにしているからでしょう。
台湾が切り捨てられたから、今度は韓国が切り捨てられるだろうといった雰囲気でした。(p.68)
1971年のニクソンショックを受けて、岡崎氏が韓国に赴任したときのこと。
要するに、通常の国家ではなく、王族の家なのです。(p.107)
サウジアラビアという国について。
もし湾岸戦争に中国が参戦していたら、アジアでの米国のパートナーは、日本ではなく中国になってしまいます。(p.141)
1990年の国連平和協力法を巡っての話。もちろん、天安門事件の翌年だからそんなことは不可能だったのだが、「もし、天安門事件がなかったら」という想定をすれば、日本の安定が吹っ飛びかねない状態だったという判断。このとき、法律を作って良いかどうか中韓の意向を聞くというとんでもない話が出ていて、岡崎氏が止める働きかけをしている。