岡崎久彦氏が幕末以降の日本の外交史についてエピソード集的にまとめたもの。
幕末期からの人材とか、戦後の占領政策の失敗と悪影響(ケーディスとかマーク・ゲインあたりはメタメタに批判されている)とかもあるけれど、興味深く読んだのは、日露戦争後から敗戦までの間で、日中・日米衝突を避ける・緩和する可能性の部分。
- ポーツマス後のハリマン提案(1905年)
- 移民対日差別問題(1910年代)
- 中国関税自主権回復問題(1920年代)
- 日英同盟破棄(1923年)
- 済南事件(1928年)
- 塘沽停戦協定(1933年)
- 世界経済会議(1933年)
- 日英対中援助提案(1935年)
- トラウトマン仲介(1937年)
- 日米了解~トップ会談案(1941年)
いわゆる「東京裁判史観」の影響でこの辺の知名度が不充分というのは、確かにあるんだろうな。岡崎氏もそれぞれの要因を色々分析してはいる(個人の判断ミスだったり、金が無かったり、世論的に無理だったり、米国がわけ分からんだったり)けれど、その辺は今はどういう分析になっているんだろう。本書自体も20年前の本だから、主流の説も今は色々違うだろうし。