k-takahashi's blog

個人雑記用

コンピューティング史

 

 コンピュータが人間(計算をする職業の人)を指していた頃の話から、最新(といっても2010年頃まで。本書は2014年の発行)までを通して、計算・保存・通信といった情報活用を「コンピューティング」という言葉でまとめた一冊。

個別のエピソードには知っているものも多いが、流れをきちんと捉えているというところがポイントで、「ああ、そうだよねえ」と納得するところが多い。

 

通信(ネットワーク)の話も電信のところから始まり、初期のインターネット(小文字のinternet)に繋がっている(ノードが一端情報を保存し、パケットとして送るという考え方)。

科学計算とオフィス用途というのが初期のコンピューティングの両雄で(だからFORTRANCOBOL)、それは数表作成と会計機器から来ている話で、というのも改めてそうだよなあ、と。

そうすると「リアルタイム」の実現の革新性、「個人用」という発想の異端性も分かる。この個人用という発想はコンピューティングの民主化とも大きく関わっているのだが、よく知られているように民主化と一般化はかならずしも相性が良くないという辺りも出てくる。

ニコンメインフレームを小型化したものとして生まれたのではなく、マイコンに至ってはほぼ無関係というのも、確かにねえと納得できる。

個人的にはTSS周り(グロッシュの法則とかBASICとか)が興味深かった。

 

びっしりと400ページあり、お手軽に読める本とは言えないが、興味のある人は入手しておくことをお薦め。改訂版は2024年に予定されており、今度はそれほど遅れず和訳が出る、といいなあ。