k-takahashi's blog

個人雑記用

創られた心 AIロボットSF傑作選

 

 ロボットというかAIをテーマにしたアンソロジー

AI(ロボット)同士のやりとりにせよ、AIと人間とのやりとりにせよ、それをどう書くかというのは大きな課題で、結果として会話スタイルが多くなる。サイバーっぽくするならいわゆるチャット文体になるわけで、そういうのが多いのは現状宿命なんだろう。続けて読むとちょっとくどく感じる。

 

差別の文脈でロボットを置くと、ブラック職場とか格差社会の話になる。さすがに本書には「それだけ」な話はない。
友好的だが異質なエイリアン的な位置づけにロボットを置くと、ユーモラスなストーリーになる。悪意はないがぐらいにするとブラックユーモア度やコメディー性が上がる。

 

個人的に面白かったのは、サイバー空間へのアップロードが普通になった世界で最後の一人となったカトリック司祭のアップロードを描いた「罪喰い」(イアン・マクラウド)、エンケラドスの探査ロボットの自我の有無を議論する「生存本能」(ピーター・ワッツ)。一番笑ったのは、当人(当ロボット)が大真面目に苦労する「人形芝居」(アレステア・レナルズ)。