k-takahashi's blog

個人雑記用

脳は世界をどう見ているのか

 

ホーキンスによる知能のモデル化の紹介本。

以下、ほとんどメモ代わり。全体を整理するのはかなり大変なので。

 

脳はどのように働いているのかの仮説を紹介するのが前半。

知能を実現しているのは、脳の新皮質と呼ばれている部分。新皮質は皮質コラムという要素が多数集まってできている。

皮質コラムは世界(物体)の構造を学べるように座標系を理解する。細かい特徴を検出しそれらの関係を構造として理解するために座標系が用いられているのだ。同じメカニズムで物体の認識と操作(体のセンサーと物体の動きの結びつけ)ができる。複数の座標系同士の関係を理解する(座標系の変換と接続)ことで複数の物体の関係や動作が理解できる。同じメカニズムで抽象概念を学ぶこともできる。座標系を変換して接続するのに、別に物理的なセンサーを動かす必要は無く入力を変えれば良いだけだから。

一方現在主流のAIモデルでは座標系の学習ができない。つまり人間のような知能は実現できないことになる。身体性が重要になるのはこの座標系の獲得と学習、連携が身体性と密接に結びついているからなのだろう。

知能は皮質アルゴリズムの現れであって、皮質コラムは予測を行っている。予測が外れるとニューロンは学習を行い、新たな問題に対応できるようになる。これが知性の柔軟性であって、操作と予測と学習ができなくては知性は実現できない。

 

後半は、そうした知能が人類を脅かすことはないだろうという予測とその解説。他者を攻撃するような発想は脳の古い部分、新皮質ではない部分が産み出す。人工的に作られたAIには古い脳はないので、そういう発想はしないだろう、というのが大雑把な考え方。(事故や間違いが起こるかもしれないことは認めている)。
この発想を進めると、古い脳を抱え込んだ人間の方がAIよりよほど危険ということになる。

AIが汎用型に進むのかという問いについては、結局今のデジタルコンピュータが万能チューリングマシンであることを思えば、一部の特殊用途以外は将来のAIも汎用型になるだろうという説で、確かに説得力はある。

 

 

この論がどの程度正しいのかは私には判断できないが、少なくとも読んでいて、考えていて大変面白い説なのは事実。