k-takahashi's blog

個人雑記用

ケータイ小説とは

ケータイ小説は個々に意味を持たず全体がひとまとまりの何か」だという可能性もありますが

ケータイ小説について - 論理兵站 - ファック文芸部

という解釈に、半分ビックリし、半分納得してしまいました。ケータイ小説の全部がそうではないとは言え、いわゆる「渋谷ガングロ系」についてしばしば指摘される中身の無さも、ライブ感覚と親近感(本当のことである必要はなく、その刹那にそれらしいものとして使えればよい)をベースにした「語りなおし」だと捉えるわけか、なるほど。本当かどうかは、私は「ケータイ小説」を読まないのでなんとも分かりません。誰か調査とかしてないのかな。
 思い付きついでに書いてしまうと、端から見ると似たようなものばかりなのに当人達は結構楽しんでいるというところは、同人界の「ジャンル」の細分類に近いのかもしれない。ほら、カップリングの違いとか、当人達にとっては大問題だけれど、外野から見るとそもそも何が違うのか分からなかったりするじゃないですか。「渋谷ガングロ系」についても、実はそういう分類がきちんとあるのかもしれない。


 同エントリー中の他の記述について、少々補足。

あと、バックライトがついているので暗いところで読める。これによって、中学生男子や中学生女子が夜中に布団の中でドキドキしながら読むというアウトプットを想定することができます。けだるい美人 OL が本屋で買えない種類のアレをアレするとか。

ケータイ小説について - 論理兵站 - ファック文芸部

については、

 この電子書籍市場の盛り上がりにもっとも貢献しているのが、冒頭でも紹介した女性ユーザーだ。特にF1層と呼ばれる20歳から34歳までの女性が、多くのコミックコンテンツを購入しているのが大きいという。

 ドコモの山口氏は「キーワードはBLTLだ」と話す。BLTLとは、Boys LoveとTeens Loveの略で、このジャンルのコミックを女性の読者がこっそり読んでいるというわけだ。同氏は“実際に本やマンガを買うのは恥ずかしいが、読んでみたい”というニーズを携帯が満たしているという背景があると読む。

http://neo.g.hatena.ne.jp/extramegane/20070910/1189355645

というのがある。ここで山口氏が触れているのはコミックだが、キャリアが把握できていない(コミックを把握できているのは、課金をキャリアがやっているからだと思う。)だけで、小説にも同じことが言える可能性は高いのではないだろうか。モバゲータウンの中とかにもありそうな気がする。

で、携帯電話のディスプレイで読まれる。小さいので文字数が制限される。だいたい数十文字で改行しなくちゃです、と言われているようです。この文章みたく一文をだらだらつなげてしまうと、ページをまたいじゃうから読みにくい。読みにくいということは読まれないということです。

ケータイ小説について - 論理兵站 - ファック文芸部

については、内藤みか氏の著作*1によれば、

携帯小説の利点

  • 読者が非常に多く、無料サイトでは一日十万アクセスを越えるケースも
  • 一回の分量が原稿用紙三枚程度と、非常に書きやすい
  • すぐに感想がメールで届くので、普通の小説と違って、読者との距離感も近い
  • 本を持ち歩かなくてもQRコードさえあれば読んでいただける
  • 思い立ったら簡単に携帯小説サイトを無料でスタートさせることができる。

携帯小説の問題点

  • 一回の分量が短いので、風景描写などを長々と書き込むには適していない
  • 小さな画面なので、目が疲れてしまうことも。
  • 読者に存在を気付いてもらうためにアピール活動が必要

(pp.185-186)

携帯は画面が小さいので、タイトルも十字以内のものになるべくするようにしています。
そうすれば一行でおさまりますので、表示しやすいのです。
また、移動時間などに少しずつ読み進める方も多いので、話はわりとアップテンポに作った方が受け入れて貰いやすいです。そして大河ドラマのように登場人物が多すぎると、なかなか憶えては貰えないので、登場人物が少なめの方がうけるとは思います。
(pp.191-192)

 登場人物のくだりは、前の部分をぱらぱらと読みも返すのが難しいという物理的制約からなのだろう。この前をちょこっと読み返すというのが面倒なのは、ケータイ小説に意外に大きく影響しているのかもしれないと思っている。

携帯小説と普通の小説はさほど違いはないと申し上げましたが、冒頭部分に関しては読む形式の違いがあるため、かなりの変化がみてとれます。
(中略)
一文一文が、私の普段の文章よりやや短めに書かれています。これは冒頭だからより強く携帯向けの読者にアピールしているので短いのですが、この数行で読者さんを引っ張ってこないと、読者さんは「次のページに進む」というボタンを押してくれないので、こちらも必死なのです。
(中略)
いきなり事情説明が入っているのがおわかりでしょうか。小説ではそんな状況はまだ、出しておらずムーディーに前フリを長くしているのに、携帯小説ではいきなり種明かしとも言えるような「口論の末に終わってしまった」と書いてしまっています。これは大きな違いです。なぜこのようなことをしたかというと、携帯小説の連載は、一話の長さがだいたい原稿用紙三枚と短いのに、第一話でそれを伝えなくてはならない必要があったからなのです。
(pp.191-194)

などなど、既に「ケータイ小説術」のようなものもできつつあるようです。
 SFで言うショートショートが原稿用紙で5〜20枚と言いますから、ケータイ小説の一話は、本当に短い。新聞の連載小説の1回分が原稿用紙4〜5枚だったかな。