k-takahashi's blog

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ケータイ不安

ケータイ不安―子どもをリスクから守る15の知恵 (生活人新書)

ケータイ不安―子どもをリスクから守る15の知恵 (生活人新書)

 本書は3部構成になっています。
 まず第1部では、今の子供達のケータイやネットの使い方、人間関係の様相を概観します。その際、「ネットの方がリアル社会より危険なのではないか」という類の思い込みから来る漠然とした不安について検証したいと思います。
 続く第2部が本書の中心となるパートで、具体的な不安やトラブルに対処するために、親が身につけておきたい基本的な智恵を15項目に絞り込んで紹介します。前から順番に読めば、子どもを危険から守る最低限の心構えはできるようになっています。いままさに気になることがあれば、その項目から読んで頂いても結構です。もちろんここで述べたことが唯一の「正解」ではありません。個々の子どもの状況により、また各家庭の教育方針により、「我が家なり」にアレンジして活用して頂ければと思います。
 第3部では、親の視点から少し離れて、ネット社会の健全化に向けた取り組みを行っている現場の人々への取材をふまえ、今後の課題を提示しました。(まえがき、より)

ということで、分かりやすくまとまった良書。マスゴミの一部にはネットやケータイを敵視する人がいますが、本書は「どうやって上手く付き合えばいいのか、トラブルを避けられるのか。そのために何をすべきか」という視点からまとまっている。


 子どもとケータイのつきあい方についても、きちんと解説されている。例えば即レスについては、それが子ども社会で生き残るための掟となっている面(そのため、防水ケータイを使う子どももいる)を指摘し、それが適度な頻度に留まっている限りはそれほど問題視しなくて好いとする一方、過度の場合は親の責任で止める必要があるとしている。(これに限らず、どこで口を出さずに、どこで行動を起こすべきか、という話もきちんとしている。「口を出さずに我慢しろ」というアドバイスも何度か出てくる。子どもをコントロールするのではなく、見守るのだ、という視点なのである。)


 ネットイジメについても、従来型との共通点・相違点を整理したうえで、大人の介入の仕方を実践的に紹介している。さらには、子どもを加害者にしないという点もポイントとなっており、そこへの注意もある。


 細かいところに気になる部分もある(子どの社会の人間関係が、動的になっていると言ってみたり固定化していると言ってみたり(多分、これは適用範囲が違う話をしているだけだが、その辺の説明があまりない)、「死ぬ死ぬ詐欺問題」を誹謗中傷と言い切ったりするなど)が、親や先生が読む本としてよくまとまっていると思う。
 更に言えば、ウェブ側の住民が「敵」と戦うための道具としても使える。公式サイト顔負けの「学校裏サイト」の存在や、ネット利用時間と成績との関連を否定する調査などが紹介されている。