k-takahashi's blog

個人雑記用

きょうも上天気 〜翻訳者という軸

浅倉久志先生の追悼企画アンソロジー。翻訳SFは昔から、翻訳者が目安になると言われていましたが、特に浅倉先生の場合は、そうった見方そのもを作った功労者という位置づけもできる人でした。


既読の作品が多いものの、だからといって作品の価値が減じることは微塵もなく、上質の傑作選となっている。訳文を見て訳者を当てるほど私は文学的感性が強くはないので、「あ、これも浅倉先生だったのか」と感心することしきり。


ディックの「時間飛行士へのささやかな贈物」は、時間ループものとしても異色だと思う。ロジックそっちのけでひたすら内心を追求する。ある意味、時間ループものをこういう作品に仕立て上げてしまうのはいかにもディックっぽい。