k-takahashi's blog

個人雑記用

なぜ、あの会社は儲かるのか? 〜ビジネスモデルのケーススタディ

ビジネスモデルについて解説した本は多い。高収益を上げている企業の多くについて、「この会社のビジネスモデルは、こういう風に優れている」という解説する本や記事も枚挙に暇が無いし、講演会などでも定番のネタである。そういうのを読んだり聞いたりしたら、普通のビジネスマンなら、「じゃあ、自分のところはどうしようか?」と考えるだろう。そして、たいていの場合は良いアイディアは思いつかずそのままになる。これ自体はある程度仕方が無い。


ただ、真剣に考えようとしたときに、そのとっかかりがなくて困ることはある。「聞いたビジネスモデルは確かに素晴らしいが……」という感じで、これもまたよくある話。
本書は、「異業種のビジネスモデルを別の業種に持ってくる」という観点でビジネスモデルを解説している。類書と異なるのは、「そのままでは使えない」というところを前提にしているので、一段踏み込んだ解説をしているところ。また、ひとつのモデルを2カ所に適用するので、各モデルについても理解が深まるし、記憶にも残りやすい。なるほど、上手い解説方法を考えたものだ。


「似ているようで上手くいかない例」もあり、これも変なモデルに拘泥して失敗することを未然に防ぐ効果があるのだと思う。(マイカのビジネスモデルが海外展開できない理由、ヤマトの引っ越し便が苦労した理由、など)


前半は事例集で、マイカ楽天バスサービス、日本ゴア、スルガ銀行コマツ富士ゼロックス星野リゾート、パーク24、ブリヂストン、などを詳しく解説している。多分、話として全然聞いたことがないという人は少ないだろうが、上述のような視点で書かれているので納得度が高い。
後半は、ある程度一般化した話。内容的には類書に書かれていることと大きな違いは無いと思う。


もちろん、簡単に思いつくようなビジネスモデルなら先に誰かがやっているだろう。それは当然で、本書を読んだからといってすぐに儲かるビジネスモデルができるというものではない。
それでも、ある程度理解したうえで記憶に残りやすいというのは充分な長所で、値段と時間を割くに値する一冊だと思う。ビジネスモデルという単語に感心があるならお薦め。


以下、自分用メモ。

固定資産が有効活用されていないのがバス業界の特徴であるが、鉄道や航空機と違い、需要の増加に対して、続行便臨時便を容易に増発できるのもバスの特徴である。(No.552)

DMU(意志決定者)、PU(購買者)、CU(使用者)という呼び方がある。(No.1370)

(介護用ベッドについて)
判断のできるお年寄りからは、「レンタルということは、お先が短いからか」と心証を害されてしまうことがあった(No.1440)

サービスのなかから必要なものだけに絞る”マイナスの差別化”を行うと、ビジネスモデルを転換せざるを得なくなるケースが多い。マイナスの差別化に対しては、とりわけ業界のリーダー企業は同質化をしかけにくい、リーダーが持っている経営資源が使えず、かえって負債となってしまうからである。(No.1761)

顧客にとって非日常的なことを日常的におこなっているビジネスは、高い収益率を享受している(No.2115)

サービスをテコに純正品を定価で売る(No.3105)