- 作者: ロジャー・ラックハースト,福田篤人
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2017/03/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まずロメロゾンビがあって(その前に元ネタになったハイチの民間伝承があって)、そこから他の映画(『スリラー』を含む)、小説、ゲームなんかへの広がりという感じで理解していたけれど、本書はもう少し丁寧に説明している。350ページほどの本だが、ロメロゾンビが登場するのは第7章(p.224)。
まず第1章に登場するのが、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)。日本に来る前の1887年〜89年にマルティニーク島に滞在し、そこの記録を残している。有色人種の民間伝承という点では、日本の怪談もハイチのゾンビも同じだったという感じなんだろうな。
その後、幾つかの旅行記があり、パルプ雑誌のネタや映画が続く。この辺の、特にタヒチのレポートの歪みっぷりは面白い。伝える側の思惑、聞きたい話を求める受け手、儲かる興業をしたい人達、などなど。
最後の第8章は、バイオハザードの話から始まり、脳死判定やアウトブレイクとの関連などにも触れられている。
欧米に最初に伝えられたゾンビのもの語りがプランテーションで酷使される疲れ切った労働者達のイメージの反映であったり、30年代のゾンビが基本的には単独で活動するものであったり、という辺りも豊富な例を使って紹介している。
一方で、「なぜ、ヴァンパイアではなくゾンビ?」という辺りの話はあまり出てこない。(バフィーの扱いもぞんざい)
日本の最近のゾンビ映画の代表が『STACY』と『カタクリ家の幸福』だと言われても、そうなのかなあとしか。
ま、この辺は私の教養不足なんだろうが、分かりにくいとは思う。