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ワールドコンまでには、と思って手を付けた「知性化の嵐」三部作。6冊で約3000ページ。それでも量が足りないくらいこれでもかという感じで詰め込まれている。
最初は、割と普通に知性化シリーズの外伝的な雰囲気で始まる。舞台は辺境惑星ジージョ。ジージョを含む第4銀河系全体が、銀河文明によって酸素呼吸生物の居住を禁じられている地域である。ところが、このジージョには、それぞれの事情で流れ着いた6つの種族が不法入植していた。彼らは苦難の末に共存状態を打ち立てることに成功する。そんな彼らの目的は、一旦非知性化することで違法入植の罪を贖うという「贖罪の道」をたどることであった。そんなジージョの若者集団が、ちょっとした冒険の計画を立てるというのが冒頭のメインストーリー。
ところが、そんなジージョに突如ヒトの主属を自称するローセン属の宇宙船がやってくる。ジージョの支配を目論むローセンの計画を見抜いたジージョ住民は果敢に反撃を試みる。ところが、反撃が奏功したと思ったのもつかの間、ローセンの宇宙船を一蹴して現れたのが覇権種族ジョファー。
ここまでが最初の2冊。そして、例の宇宙船を巡る騒動から、果ては20億年に渡る銀河文明全体の謎に迫る。ここまでスケールアップするとは思わなかった。ダイソン球がちょっとしたギミック扱いですよ。しかも、ちゃんと最初の冒険で引かれた伏線が回収されているし。
知性化戦争で拡げた大風呂敷に真っ向から挑んで、更に大きな風呂敷を拡げきった一作(いや、三部作6冊だけど)。「ほう、そうくるか」という感覚が読んでいて楽しい。
銀河秩序からはぐれた鬼子種族ヒトなればこそ、ハービーを発見することができた。まあ、ここまでは普通(?)だ。しかし、それがひいては1億年後に自分達の子孫を助けられるかもしれない、などという発想は、いやはや、いいよなあ、こういう考え方って。どのエイリアンもハリウッド風の着ぐるみと大差ないじゃないか、という批判は外れてはいないが、「だからどうした?」と言い返せると思いますよ、本書は。
ちなみに、第三部に登場したハリー・ハームズ監部補が、視点の高さと低さとが入り交じったいいキャラでした。