k-takahashi's blog

個人雑記用

ワールドコン NIPPON2007

(9月3日に修正)
 今日は朝から。9時ちょっと過ぎにみなとみらいに着いたが適当な朝食所が見つからず、結局マックですます。まあ、あまり歩き回る気が無かったからなのだが。ちなみに、今日から受付はホールに移動しています。

SF作家クラブ40周年記念パネル Memorial Panel Discussion: 40 Years of SFWJ

 
 結成が1963年なのになぜ40周年記念なのかというと、「40周年を記念した本が出たから」だそうです。
 1965年にクラブで東海村に見学に出かけたときの8ミリ映像が流されていました。例の星新一氏が「ではまず原子を見せてくれ」と言ったというエピソードで知られる見学会です。
 SF作家クラブに人が入ってくるのに波があるのは、おもに環境によるものらしく、ブームの影響も含めて、新人が出やすい/出にくいタイミングがあるのだそうです。谷甲州さんと山田正紀さんは別世代に入れられるけれど、実際の年は変わらないとのこと。


 なお、全体の半分以上が小松節の鑑賞会と化していたことと、山田正紀氏が妙に静かだったことを付け加えておく。(^_^)


現代日本SF展望その1『ゴジラ』から『日本沈没』まで Overlooking modern Japanese SF(1): from “Godzilla” to “Japan Sinks”


 ようするに、「スターウォーズ」ブームの前までということです。こっちも小松節鑑賞会になってしまったのですが、それ以外のネタとしては、

  • 日本SF第1世代は、終戦による価値観の逆転を体験している。絶対的な価値に対する非常に強い疑念が根本にある。ただ、これは今のWeb普及による価値観の混迷と共通するところがあるのかもしれない。
  • 小松左京先生が電卓を経費として申請したが却下された。同じ頃、妾に払う金を経費と申請した作家がいて、こちらは認められたのだとか。
  • 第2世代は学生運動時代に重なる。しかし、学生運動に違和感を感じた人の中でサブカルとしての格好良さをSFに感じた人がいた。
  • 文学だけでなくマルチメデイア展開を始めたのは第2世代からである。


 あと、ちょっと失礼な言い方になりますが、小松節の件。つまらないわけではないのですが、流れがぶつぎれになる場合が多かったように思いました。


現代日本SF展望その2「SFワンダーランド」 Overlooking modern Japanese SF(2): SF Wonderland

 セッション前に打ち合わせをしている様子 
 セッション前に打ち合わせをしている様子
 こちらは、ポスト「スターウォーズ」時代の話。

  • 高千穂先生のクラッシャージョーは、会社として受けた企画で、絵を使うのも仕事のうち。
  • 誰の絵を使うかは、自分の好きなイラストレータを選んだだけ
  • 谷先生曰く「ハードSFをきちんとやっておきば、つぶしがきく。たいていなんでも書けるようになる」
  • でも、山岳小説と偽ってSFを書いてしまった(「岳人」)ら、その後仕事は来なくなった。でも、書いたもん勝ちだ。
  • 新城氏は、ゲームやアニメが普通に手に入る時代に小説を書くという意味を考えていたとのこと。
  • SFの新人賞が無い間に、新人がラノベ/アニメ/ゲームに流れた。新城氏もその一人で、ここ数年やっとSF専門レーベルで出せるようになった。
  • ちなみに、新城氏に限って言えば、ラノベ時代とSF時代とで売り上げはそれほど変わっていないらしい。
  • 高千穂氏は、自分は本格推理もの以外はなんでもできる自信があるとのこと。本格推理ができないのは、犯人を最後まで隠しておくことができないから。
  • いわゆる冬の時代を高千穂氏はあまり問題視しなかったらしい。電撃の審査員をやっていたので、そこにSFを入れてしまっていた。


 レーベルや新人賞って大事なんですね。


SFにはどの程度科学が入っているべきか How Much Science Should SF Contain?


 これは選択ミスだった。部屋のエコーがきつくてほとんど英語が聞き取れず終い。部分的には聞き取れる(スターウォーズ、あれは西部劇だろみたいな。まあ、ハードSFの視点から見ればその通りだ)ものの、肝心の科学とストーリーの関わりについての説明部分が全然聞き取れない。
 ベンフォード先生のお顔をしばらく拝ませていただいてから撤退。


展示ホール

 時間が半端だったので展示ホールを一回り。

 八谷さんご本人がオープンスカイの解説をなさっておられました。実際にフラップが動いているのを見せて貰いました。ちなみにピッチは体重移動だけでやってしまうとのこと。総重量の半分が人間ですから、それで充分らしい。
 アートショーブースでは、絵を描く実演を披露していて周りを人が取り巻いていました。(3人のうち一人は多分、加藤直之先生)



 ラウンジAのテーブルゲームスペースでは、4組がゲームをしていました。高級おはじきみたいなゲームが1卓、D&Dが2卓(日本語1,英語1)、迷宮キングダムが1卓。あと、格闘技系らしきゲームが1卓終了直後でした。
 プレイヤーがいませんでしたが、インド将棋、チェスなども用意されていました。


 移動中にボスボロットとマジンガーに遭遇


 同じく移動中に見かけた久美沙織先生の朗読会。タイミングが合わなかったので行けませんでした。


コミックマーケット協力企画2 コミックマーケットSF大会 Comic Market and SF Conventions

 故・米沢代表の思い出話企画。バイリンガル企画のはずが、日本人しかいなかったため日本語企画に。その分早めに終わりました。しかし、スタッフが500人くらいまでの頃は、全員の顔と名前を覚えていたというのは凄いですね、政治家並み。
 場を維持することの意味合い、作家とファン・描き手と読み手・プロとアマなどの距離感の問題などは、いずれもが抱えている課題ですね。


 ちなみに、SF大会が1000〜3000人。コミケが20万人。その中間規模の何かが要るのかもしれないな、と思った。


非人類キャラクターの描き方 Writing Non-Human Characters

 コミケ企画が早めに終わったので、後半30分ほど覗いてみました。10人くらいしかいなかったのは、このテーマに人気がないからなのか?
 私が行ったときには、ノン・ヒューマンというよりやカルチャーギャップの話に終始していました。「日本はチップいらないよね」「受け取ってくれないから、代わりにこれ(コアラのぬいぐるみ)を渡しているよ」とか。


ディーラーズ・ルーム

 今日は大方揃っていました。星界の同人誌「月と星の宴」を入手。なんと森岡先生も短編一つ載せてます。


スタートレック・ニューヴォエージ: ワールド・イナフ・アンド・タイム Star Trek New Voyages: World Enough and Time


 スタートレックのファンフィルム、というとちょっと違うか。ファンが中心となって作った外伝シリーズで、3シーズンで終わってしまったTOSの第4シーズンという位置づけにしているとのこと。一応、非商用ということでパラマウントの許可は得ているらしい。
 メインホールを使って大スクリーンでの上映。観客は300〜400人くらいはいたのではないだろうか、意外に多くて驚いた。こういう方も見ておられました(今回はクリンゴンは出てきませんが)


 正直ファンフィルムではあるので、特撮はTOSのリマスターレベル、素人だから当然なんですが役者も決してうまいとは言い難い。ジョージ・タケイ氏がスールー(日本名:ミスターカトウ)役で出ています。バランス的にはちょっと問題ありますが、さすがの演技でした。
 一方、ストーリーの方は、"The City on the Edge of Forever"とか"Inner light", "Yesterday's Enterprise" あたりの人気作のいいとこ取りして作った「泣かせ系」のお話で、巨大シリーズの隙間を上手く使っているあたりはファンフィルムの面目躍如といったところ。細かいところのこだわりも嬉しい。

 ワールドコンはファンの集まりですから、こういうファン魂の溢れる作品は評価されますね。終わったところで万雷の拍手でした。ジョージ・タケイ氏は「この作品は、ネットを使って分散環境で作られた。携帯も40年前のコミュニケータと同じような機能を持つ。どちらも昔はSFだったが、現実になった。今SFと思っていることだって現実になるかもしれない。情熱があればきっと」と、いかにもスタトレ的なアジ演説。この辺はファンの気持ちをよく分かってらっしゃる。


 一応、日本語字幕が付くのですが、これはだいぶ直さないといけないレベル。日本語として不自然なところとか、そもそも誤訳とか結構目に付いた。(特に、スールーの娘とスールーを取り違えていた部分は、見ている人を混乱させてしまうので問題。)


追記:2007年9月1日
http://d.hatena.ne.jp/patholer/20070901 に関連記述ありとのコメントをいただきました。字幕のバージョンが違っていたようです。