k-takahashi's blog

個人雑記用

火星探査機フェニックス

 ディスカバリーチャンネルで放映された番組http://japan.discovery.com/episode/index.php?eid1=873926&eid2=000000。原題は、"MARS the quest for life"(2008)。


 1999年のMars Polar Landerは軟着陸に失敗し、失われてしまった。その失敗を元にした新たな着陸調査探査機がフェニックスである。この名前は当然のことながら、Polar Landerの精神は死なずというあたりから名付けられている。


 ミッションの最重要目的は水。事前の調査で水素が発見されており、ならば水もあるのではないかというのが本計画の最大の調査目的である。いわゆる極限環境生物が火星にいるとしたら、最低限、エネルギー・水・有機物があるはず。そのうちの、水を最重要目的として、あわよくば有機物もということである。


 Polar Landerの失敗については、色々言われているが、本番組ではレーダーが地上を捉え損ねた、説を採っていた。番組によると、このレーダーは、F-15用レーダーを改造したもので、切り離した耐熱シールドを地面と誤認した可能性が高いということだった。本計画では、そこは充分な改良とテストを行ったとのこと。

 もう一つ大きな懸念となったのが、着陸時に利用するパルス・スラスターエンジン。前回のPolar Landerの失敗により、このエンジンは「未だ成功例無し」のエンジンとなってしまったのである。しかし、予算的に新エンジンを開発することはできず、こちらも徹底したテストと改良を施しての再チャレンジとなった。


 打ち上げタイミングの関係(御存知の通り、打ち上げチャンスは2年に1度)で、スケジュールは融通性に乏しい。開発がぎりぎりにずれ込んだのが、分析装置のTEGA*1。毎日16時間働いたという開発チームの努力でなんとか間に合った。


 番組のクライマックスは、着陸シーン。突入、パラシュート、エンジン点火、そして高度計の読み上げ。着陸成功が分かったところで、みんな大喜び。
そして、器機が正常に動作しているかどうかの確認となる、映像受信。これも成功。ハヤブサのときもJAXAの関係者が小躍りして喜んでいましたが、いずこも同じですね。


 この番組が扱っているのはここまでで、その後の成果は別の番組ということになるのでしょう。

*1:水を検出するための装置