k-takahashi's blog

個人雑記用

拷問と処刑の歴史

 ディスカバリーチャンネルで放映されている特集「暗殺とテロと拷問」の一つの「拷問と処刑の歴史」(Machines of Malice)をビデオ鑑賞。古代編、中世編、近代編の3部構成。


 古代編で扱っているのは6つ。紀元前570年頃の「ファラリスの牡牛」、紀元前1世紀のケルトウィッカーマン、帝国期ローマの巨大車輪、十字架磔、コロセウム。
 ファラリスの牡牛は、中空の金属製の牛の中に犠牲者を閉じ込め外部から加熱するというもの。犠牲者が呼吸に使う管を楽器状にして牛が吠えるような音が出たという。
 ウィッカーマンカエサルの記録によるもので、木組みの巨大人形の中に犠牲者を縛り付け、そのまま焼き尽くしたという。
 ローマの車輪は円筒状の車輪の外部に犠牲者を縛り付け、車輪を丘の上から転がり落とすもの。
 十字架磔はご存知キリストのあの話。これが資料としては興味深く、実は足も打ち付けてあり、それにより犠牲者が死ぬまでの時間を引き延ばしていたのだそうだ。(体が変型することによる窒息死が磔刑の死因になるのだが、脚である程度体重を支えられるようにすることで、それを遅らせることになるから。)


 中世編は、引き延ばし機のラック、指や頭を潰すバイス、苦悶の梨、恐怖の振り子、鉄の処女、水責め椅子。
これらのうち、苦悶の梨(洋梨状の器具でネジを回すと大きく広がる。これを犠牲者の口腔内に入れたとのこと)については記録も乏しく、実際に試験してみると強度も弱くどうもお話だけの存在だったとのこと。恐怖の振り子も同様で、実用性はほとんど無くこれもお話だけの存在だったらしい。
 鉄の処女は、入れたらすぐに死にそうに見えるが、内部の釘を増減して拷問用・処刑用を使い分けていたそうだ。なんと、フセイン政権下のイラクで使われていた可能性があったらしい(現物が見つかっていたとのこと)。


 近代編は、ギロチン、絞首刑、銃殺、電気椅子
 ギロチンが「苦痛無く速やかに」という目的で作られたことは知っていたが、発明のポイントは、斜めになった刃の角度と刃の上に載せる重りの加減だったそうだ。それまでの斬首刑が首斬り役人の能力に依存したもので、しばしば円滑な運用ができていなかったということへの反省をふまえて開発されたとのこと。なお、人間の頭に特化しているため、他のものは意外ときちんと切れないそうだ。番組の実験でも、発泡スチロールの人形や豚の脚などはうまく切れていなかった。
 絞首刑にも実施上の問題があった。速やかに処刑する必要がある一方で、公開処刑という形式を取った関係で首が取れてはいけない。その辺に細かい工夫が積み重ねられていて、体重とロープの長さを細かく規定したのはそのためだとのこと。
 電気椅子については、実は電気で人が死ぬメカニズムは細かく解明されていないのだそうだ。


 番組としては少々中途半端な仕上がりになっていたように思う。メカニズムなり文化史なりを追究するならするで、もうちょっと突っ込んで欲しかった。映像的には、直接的なグロシーンは出てきません。あまり子どもに見せたいような映像でもないですけど。