- 作者: フォーラムエネルギーを考える
- 出版社/メーカー: 生産性出版
- 発売日: 2009/02
- メディア: 単行本
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ある程度関心を持ってきた人には、第一部にそれほど新味のある情報は無いが、まとまっているのは大事。地震対策とか丁寧に解説してあります。
北朝鮮の火遊びやら北京政権の恫喝やらに対抗しようということなのか、日本の核武装を唱える人達が一部にいて、確かに基礎的な積み重ねはそれなりに日本はできています。いますがその努力の少なからぬ部分が非軍事目的であることを示すために費やされています、六ヶ所の再処理工場は「世界で最も透明性の高い核関連施設」です。兵器目的でないことを明確に示すためにあらん限りの努力が積み重ねられています。その努力を否定するような発言はイヤですね。(ブラフや駆け引きとしてやる手はあるでしょうが、そういうのは裏でこっそり言うとか、表向きには週刊誌やゴシップ誌で出すものでしょう。)
工場自体はフランスのラ・アーグ工場の協力を得て建設されたものの、フランスも核兵器保有国であるため、工場の情報公開という点では六ヶ所の方が徹底しているわけです。平和利用であることを示すのノウハウなら六ヶ所にあります。だから、日本は北朝鮮なりイランなりに、「迷惑だからきちんと査察を受けろ。平和目的であることを証明するためのノウハウなら日本が持っている」というべきなんですよ。(それができないのなら、軍事目的と言われても仕方がないんですね。というか、軍事目的でしょう、あの2国の場合は。)
言葉の問題も何度か触れられている。「再処理」という言葉には「処理」という言葉が含まれているが、これが一般のニュアンスとは異なっている。原子力分野では「処理」と「処分」は使い分けられている。情報系の人間だと「情報処理」という言葉に馴染みがあるので納得しやすいが、一般には混同されがちらしい。
あるいは、反対派がプロパガンダとしてよく使う「プルトニウムの致死量」という言葉。これも、放射性物質が体内に取り込まれたときの癌発症率の増加分として計算したモノを「耳かき一杯で何百万人死ぬ」みたいなミスリードな使い方をするのが目立つとのこと。
第三部は、六ヶ所の村自体のレポート。ことある毎に外部からお花畑系の人達がやってきて騒いで帰って行くわけですが、そうではなく現地の人達はどういう暮らしをしているのかというレポート。施設があることでお金がある。そのお金をただ浪費するのではなく、ある程度お金をかけて色々なことを試してみている様子が描かれている。ある意味奇麗事な面だろうけれど、一面の事実でもある。ヒステリックな反対論者が決して伝えないこと。
注意して扱わなくていけないのは事実なんですよね。刃物や火を注して扱わなくてはならないと同様に。