- 出版社/メーカー: ソニー・コンピュータエンタテインメント
- 発売日: 2009/06/18
- メディア: Video Game
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基本的には推理・刑事物のアドベンチャーゲーム。主人公は交渉人で、犯罪解決のために犯人と交渉するという設定。現実では突入とうまく使い分けるわけだが、ゲームではあくまでも交渉一本で進めることになる。
最近のゲームはフルボイス化も珍しくないが、本作では、テキストのみで音声は無し。その代わり、テキストの表示位置や色、サイズ、タイミングなどを使って、間やアクセントを表現している。
シナリオや文章の質は高く、エピソードによっては20人以上の登場人物が現れるが、ほとんど混乱なく描写できている。
ストーリーも良くできている。状況が二転三転し、混乱する状況が連続し、よくもまあと感心する。(犯人にとっても事態の急変によって想定外の状況となる。その状況で発生した問題を解決しようとするわけで、そこに交渉の余地が生まれてくる。双方が自分にメリットを感じなければ交渉は成立しないから。)
基本的にゲームとなっているのは、交渉部分(と若干の選択部分)のみ。そこに至るまでのドラマ部分への介入はほぼ皆無となっている。
少なくとも初見においては、情報量が多いのと展開がスピーディーなのとで飽きることはないし、一度見た場面については早送りも可能なので、問題はないと思う。
序章と、1〜4の5章から構成されている(条件を満たすと更に続きが遊べそうな感じ。)
交渉は、各エピソードに4〜5回発生する。交渉の結果は基本的に、「失敗」「成功」「大成功」の3つで、失敗の場合は再挑戦、成功の場合はそのままシナリオ続行。
交渉の結果が全部「大成功」になると、エピソードのエンディングが真のエンディングとなり、全エピソードの真のエンディングが揃うと、追加シナリオが出るようだ。(まだ出ていないが、多分)
交渉は、両者の会話がリアルタイムに進んでいく中で、その都度示されている選択肢の中から何かを選ぶか、あるいは何も選ばずに話を見守る、というゲームシステムになっている。
典型的な例としては、相手が何か言っている間中「○:反論する」という選択肢が画面下に現れる。ここで「○」ボタンを押せば反論し、そうでなければそのまま主張を聞き続けるということになる。
待っていると選択肢が変化することもあり、面白い仕掛けになっている。
事前に「相手は話を途中で遮られる激昂しやすい」と分かっていれば、とりあえず待つという方針でいくことになるし、特定の話題が効果的/逆効果と分かっていれば、それを選んだり避けたりすることになる。
現実世界の交渉も、「まずは相手の話を聞くところから」ということを思えば、コスター氏の言う「今必要とされる技能をゲームに取り入れる」という発想に近いかも。この部分は楽しめる。
大成功探しのモードに入って感じるのは、「大成功」になる要因がよく分からないところ。
事前の情報収集が妥当なら、2,3回失敗することはあっても「成功」にたどり着くことは難しくない。ところが、「大成功」を目指そうとすると何が要因となっているのかが見えてこないのだ。
ここでやっかいなのが、主人公(鬼塚)の考え方もプレイヤーに見えないこと。「ここであのネタを振れば」と思っても、主人公がそう考えてくれない限り選択肢には現れない。そうかと思うと、ひょんなタイミングでネタを振ることがあり、どうにも予想がつかない。
EP2の最後の交渉で、なんとか「A」評価を取ったのだが、なぜこの目標がA評価なのか、なぜ相手がこの条件に同意したのか、どの発言がポイントだったのか、などが昔懐かしの総当たり法での正解探しになってしまっている。
後知恵的にはそれなりに納得できるのだが、総当たりでなくここに辿り着くのにどうすればいいのかピンときていない。
せっかくのゲームシステムを楽しみ切れていない状況で残念なのだが、もうちょっとやると見えてくるかな。