k-takahashi's blog

個人雑記用

迷宮クロニクル

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

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迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫)

迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く (GA文庫)

 ウィザードリー小説と言えば、マイベストは「アラビアの夜の種族*1」ですが、本書もなかなか面白いシリーズになっている。


 設定は、京都の一角に突然ダンジョンが現れる。そこではなぜか魔法のような術が使える。そんなダンジョンに立ち向かう人々がいた。彼らは倒したモンスターの一部を換金(特殊な物質が手に入り、それを買い取る会社があるという設定)して生計をたてている。というもの。 そんな人々と彼らの周りにいる一般人達を群像劇風に描いたシリーズ。
 基本的にパーティが6人構成で、それが前衛3人、後衛3人になっているとことろか、死ぬときは割とあっさり死ぬところとかはもろにウィザードリーだが、この世界は現実の延長上にあるので、攻撃魔法もどきや治療呪文もどきは使えても、蘇生呪文は存在しないところが大きな違い。カント寺院抜きのウィザードリー低レベル帯を想定すれば一番近いだろうか。
さらに、3冊目では地下1階から地下4階に直通するエレベーターの建設が始まっており、この辺りもそれっぽい。あと、魔法で強化されたアイテムも登場しつつある。


 一応主人公がいて、彼の名は真壁啓一。大学を中退(休学)して迷宮に挑んでいる。彼の成長物語というのが中心的なストーリーで、東京に残してきた恋人とのすれ違いも描かれている。彼の成長の脇では、様々な人達が、成長し、行き詰まり、死んでいき、迷宮から去っていく。そこを丹念に書き込んでいる。


 一方で、この迷宮は何なのか、モンスターの正体は何か、なぜ魔法のような術が使えるのか、といった世界の謎的な部分もあり、こちらもゆっくりと明らかになってきている。


 もちろん、両者は混じり合っているのであって、そこも小説としての面白さではある。ただし、群像劇という手法で登場人物が多いのと、基本的に各章毎に各登場人物の一人称視点で書かれているせいだと思うけれど、読みにくく感じることも多い。(時間関係が微妙に行ったり来たりすることもあるし。)
 あと一冊で完結するそうで、主人公の真壁は東京に帰るのかここに残るのかまでは描かれることになりそう。あとは世界の謎はどこまで明らかになるのか楽しみ。(あと一冊で全部というわけにはいかないだろうから)

*1:

アラビアの夜の種族 (文芸シリーズ)

アラビアの夜の種族 (文芸シリーズ)