k-takahashi's blog

個人雑記用

マスクを脱いだツタンカーメン 前編

 原題は "King Tut Unwriapped: Royal Blood"。ツタンカーメンを英語で書くと、"Tut-ankh-amen"で、Tutがツタンカーメンのことですね。 ディスカバリーチャンネルが昨年制作した番組。前後編の前編で、ツタンカーメンの両親は誰か、という部分の研究成果を扱った番組。先日、ニュースにもなっていた話題。


 研究の中心になったのは、ザヒ・ハワス博士。エジプト考古最高評議会の偉い人で、よくニュースとかにも出てくるエネルギッシュなおじさんですが、この番組の中では研究者の顔つきで登場しています。


 まず父親探し。
候補は先代の王3人。アメンホテプ3世、スメンクカラー、アクエンアテン。エジプト史上、この時期は革命期と言われるほど混乱が激しく、廃棄された資料も多く研究は容易ではない。番組中でも、名前を顔の部分が削られていて、アクエンアテンのものかどうか分からなくなってしまっている棺が登場していた。 DNAで調べようにもまず、スメンクカラーのミイラは見つかっていないなども問題。
そんな中から、未整理の資料の山を再検証して、資料探しとミイラ捜しが進められる様子が描かれている。
基本的には、文献や資料である程度裏付けを得てからDNA鑑定で検証、という方向で進めるんですね。
そのDNA検証もミイラ作成時の防腐剤がミイラに混じってしまいDNAを汚染してしまうという問題もあった。
などなどの困難を紀子あえて、アメンホテプ3世アクエンアテンの親子関係、アクエンアテンツタンカーメンの親子関係がほぼ確実という結果にたどり着く。


 次が母親探し。
例によって資料確認から始まる。色々調べてみると可能性の高い候補は2人。父親アクエンアテンの正妻であるネフェルティティと側室のキヤである。ネフェルティティとツタンカーメンが一緒に描かれた壁画が残っている一方で、キヤの没年とツタンカーメンの生誕年が同じという資料も残っている。さて、どちらか。
問題は、二人ともミイラが見つかっていないこと。
ここで、博士は身元不明とされていたミイラが関係者である可能性が高いとして調査を命じる。そして、DNA鑑定の結果、そのうちの一人 "Younger Lady (KV35)"がツタンカーメンの母親の可能性が高いと判明した。 但し、この母親が誰なのかは分からないそうだ。


 面白かったのは、エジプト各地に保存されている「未整理の資料の山」。半世紀ぶりに調査された、などという資料も出てくる。
そして、そんな状態だからこそなのかもしれないが、調査自体の難しさ。ミイラからDNAを取り出すだけでも大変な作業(上述の汚染の問題もある)なのだが、それが分かったとしてなお、「そのミイラは誰のミイラなのか」もきちんと検証しなくてはいけない。