太平洋戦争のif(イフ)―絶対不敗は可能だったか? (中公文庫)
- 作者: 秦郁彦
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/06
- メディア: 文庫
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よく言われることに「何時」「何処で」「誰が」「何を」したかで事実は完結する。これらすべてを明らかにしなければ、歴史は書けない。もう一つ、付け加えれば「如何にして」が大事である。そして確かな事実にしか興味を持たない人はそれだけでほぼ満足する。しかし、歴史の面白さはそれに「なぜ」が加わることで倍加するのであり、この「なぜ」を深く考えるためには、「イフ」に肉薄することが一番の捷径であるであることが多いのである。(序、より)
という位置づけで「イフ」を考えてみましたという一冊。なので、いわゆるトンデモ妄想系架空戦記ものとは一線を画している。ただ、読んでいると結構調子の良い話も出てくるし、ロジはどうなっているんだろうという印象も持った記述も多かったように感じた。
実は2002年に一度出ている本の文庫化らしいのだが、それにしてもちょっと古めかしい印象はぬぐえない。
ゲーマー的に見所なのは、銀パパがシミュレータ誌の編集長をやっていた頃に行われた図演のレポート2本が掲載されているところ。どちらの大木毅氏の記事で「海大方式によるハワイ作戦図上演習」と「海大方式によるミッドウェー作戦図上演習」。錯誤や混乱の生々しさがよく書かれてあると思う。確か、シミュレータ誌に記事が載ったはずなのだが、こうして読めるようになっているのは嬉しい。