k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2010年12月号

軍事研究 2010年 12月号 [雑誌]

軍事研究 2010年 12月号 [雑誌]


「現地取材:雷神2010 陸上自衛隊ヤキマ派米射撃訓練」(芦川淳)は、1994年に始まった陸上自衛隊によるYTC(ヤキマトレーニングセンター)での訓練を取材した記事。狭い日本では実現困難な訓練(最大射程での射撃時に何が起こるのか、協同射撃、夜間・早朝)を実行していることのレポート。
2008年からは74式戦車が参加するようになり、「特殊な部隊の訓練」から「一般の装備を使った高度な訓練」へと変わってきているのだそうだ。
ちなみに、YTCをGoogleMapsで探して、東京の地図と比較すると大きさがよく分かる。


金正恩世襲に向けた党/軍人事の布石」(黒井文太郎)、「金王朝世襲のロジックとトリック」(藤井非三四)は、北朝鮮の最近の人事の解説。色々複雑なんだが、当の北朝鮮軍部がどう考えているのかというのが気になる。金正恩の生年すら不明確(藤井氏の記事によれば「金日成生誕100周年に30歳になるように調整している可能性」まであるとか)なんだものな。


「どっぷり民間軍事会社に依存するイラク・アフガン作戦」(阿部琢磨)は、先日米国防総省が発表した民間軍事会社の活動データの解説。不備があるとの指摘もあるが、イラクと比較してアフガンでは現地コントラクターの比率が高い(武装組織をそのまま雇って、現地の雇用状況の改善を図っている)とか、2008年5月〜9月にイラクコントラクターが急増(引継業務と引っ越しをまかなうため)していることとか、色々読み取れることも多い。


「ネジェーリン大惨事の悲劇」(野木恵一)は、1960年10月に旧ソ連で起こった大事故の紹介。ネジェーリン元帥他約100人が犠牲になった(調査をすることが国家への反逆と見なされたため、犠牲者数すら明らかでない)大事故。常温で貯蔵可能な推進剤を利用し、簡素な構造を持つ、というR-16の構成が災いしてロケットの大爆発事故になってしまったのだ。
 なお、この記事によると「政治的に無垢なコロリョーフらが意に染まぬスタンドプレー的な計画を強要されたとの1970年代までの西側の史観は修正されねばならないだろう」(p.218)だそうです。