- 作者: トム・ゴドウィン・他,伊藤 典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/11/10
- メディア: 文庫
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もちろん彼は実行する。それは、星間法規にある非情な項目L第八節にそっけなくはっきりと述べられている規則なのだ。
EDS内で発見された密航者は、発見と同時にただちに艇外に遺棄する。それは法であり、上への訴えの許されない掟だった。人間が好んでそうしたわけではない。宇宙の辺境の不可避の状況が、人間にそれを強要したのだ。(p.154)
表題作は、多分SFを読まない人でも知っているであろう有名作。30年前に出た同名の短篇集を、改めて編纂し直したもの。全9編のうち、旧版から引き継がれたのは2作だけ(「冷たい方程式」と「信念」)。50年代SFをどう捉えるかという見方がこの30年で変わったということの反映なのだろう。
『危険! 幼児逃亡中』(コットレル)の後半、プランが語る描写はホラー感がよく出ていて面白かった。こういう描写ってトランス・ヒューマンものにも出てくるよなあ。
『ハウ=2』(シマック)のオチはともかく、終盤のエスカレーションを今風に書き直すと充分通用しそう。