世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)
- 作者: 竹内健
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/01/28
- メディア: 新書
- 購入: 24人 クリック: 555回
- この商品を含むブログ (45件) を見る
読んでいてなにより感心するのは、氏のスピード感や自分の強みに集中するやりかた。そこを堪能するためだけでも本書を読む価値はあると思う。氏は、最近、こういう記事でも注目されていた。
内容は、一段一般化すると聞いたことのある話がほとんど。しかし、それはつまらないとか平凡だとかいうことではない。全て氏の体験がベースになっており非常にリアルな記述であり、それがきちんと原則に適っているということ。それがゆえに説得力がある。
印象的な部分
スピードを得るために、プレゼンに力を入れるシーン
プレゼンのときには、私たちの経歴、画期的な成果、新技術開発の計画、進化要素の数字化など、ありとあらゆる要素を詰め込んで、相手からの信用を勝ち取るための工夫をします。技術開発の中身さえ避ければ発表の体裁なんてどうでもいいという考えでは、資金の獲得競争に勝てません。その意味で、私はパワポ作戦に、論文執筆と同じぐらいの重きをおいています。(pp.126-127)
そんな苦労を潰す政治家。
これで装置が買えると喜んでいたら、今度は事業仕分けで予算が大幅に縮減されてしまいました。蓮舫さんなどが「一人の研究者に幾つもの予算を配分するのはけしからん」と食いついたのですが、私がまさにその対象だったのです。(p.128)
教育者としての配慮
学生は上からガツンとやると萎縮してしまいます。だからといって昔のようにほったらかしにして、学生が自主的に動くとことを待つというわけにもいきません。
学生のやる気をうながすために、私はある程度シナリオを用意して、少しずつ成功を味わって貰うように心がけています。(p.134)
これ、職場でもそうなんだよなあ。
いま旬の分野で自分のポジションを守ろうとすると、なにしろ人がたくさんいるので、純粋な技術の部分ではなかなか差が付きません。その結果、技術の優劣よりも、人間関係の方が大事になってしまう、ということが起こります。
それはもはや消耗戦であり、本質的出ない部分に気力や体力を奪われるのは避けたい。私がフラッシュメモリの絶頂期に、フラッシュメモリの開発から身を引く決断を下しのには、そのような背景もありました。(p.191)
正論だけど、これを実行するのは難しい。特にタイミングの判断は。