k-takahashi's blog

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大型低温重力波望遠鏡・KAGRA 第一期実験施設完成 プレス見学会

2014年3月には、そのKAGRAを格納する3キロメートルの腕を2本持つL字形トンネルの掘削が完了いたしました(注)。その後レーザー光源や真空ダクト、真空容器(クライオスタット)といった装置の開発と設置を進め、このたび重力波の観測に必要な第一期実験施設がほぼ完成しました。今回の第一期実験施設の完成を経て、2015年度中に重力波の試験観測を行い、第二期実験施設の完成に達する2017年度には重力波の本格観測開始により、世界初の重力波直接観測、重力波天文学の創出を目指しています。

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梶田先生が所長を務めている宇宙線研究所で開発中の望遠鏡 KAGRAの見学会が実施された。
トンネルの基本的な部分は去年の春に掘り終わっていたのだが、実験設備の設置完成で記者公開された。


カミオカンデもそうなのだけれど、恐ろしく小さなものを測定する装置。3kmのトンネルの中の観測装置が3x10^(-16)cm(水素原子の一億分の一程度)伸び縮みするのを検出することができる。
なぜ、こんなに精度が必要なのかというと、検出を狙っている連星中性子星の合体は、銀河系内で1万年に1度くらい起こる。これを年に10回観測するためには、10万個の銀河を観測範囲に入れないといけない。すると半径7億光年となる。つまり7億光年先で発生した連星中性子星の合体による重力波を検出できなくてはならない。すると変位は10^(-22)程度になるので、3kmに対して3x10^(-16)cmというわけ。
計算は分かるけど、よくそんなものが計測できるものだ。


なお、インフレーション宇宙論で出てくるインフレーション膨張でも重力波は発生しているはずだが、これは宇宙背景輻射同様に波長が伸びているのでKAGRAでは観測できないそうだ。