- 作者: 西森秀稔,大関真之
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/12/09
- メディア: 単行本
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要は、量子アニーリングを使えば、ディープラーニングの学習や評価のときに必要となる「組み合わせ最適化問題」を圧倒的に効率的かつ高速に解くことができる、ということ。従来の方法だと部分最適に陥ってしまう場合でも、量子トンネル効果で最適解に到達できるのだ。
というところで概ね納得したので、あとは幾つか面白かったところを。
相互作用はあらかじめわかっていて、最適化問題の解が知りたかった。ところが機械学習は逆で、解は分かっていて、その解を導き出す相互作用を知りたいというわけだ。
(No.795)
このサンプリングされるデータにどのような特徴があるかの研究も進み、上手く使うと、従来の学習方法をしのぐ結果が得られることがわかった。少し前からD-Waveマシンは機械学習に有効だという話が多くなっていた背景には、最適化問題を解くよりもむしろサンプリングに強いという事情があったのだ。
(No.812)
D-Waveの最新の顧客であるロスアラモス国立研究所に所属する小学生のお嬢さんは、D-Waveを使って暮らすの友達を互いの好き嫌いで2つのグループに分けるプログラムを作ったという。彼女は、通常のコンピュータのプログラムより先に量子コンピュータのプログラムを憶えた人類で初の例である。
(No.846)
スピングラスのイジング模型を使うことで、実社会で応用しやすい「組み合わせ最適化問題」を解くことができる。これを従来型コンピュータでシミュレートできるようにしたのが「シミュレーテッド・アニーリング」だ。そして、量子力学的な現象を利用するために横磁場を用いてより高速に計算できるよう考案したのが、量子アニーリングである。
(No.1333)
量子アニーリングという方法自体にもまだまだ分かっていないことが多く、その性質を明らかにすればより効率的な計算が可能になるかもしれない、ということでサイエンスとしてもエンジニアリングとしても非常に興味深いものだそうだ。