- 作者: 安宅和人
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2010/11/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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といった辺りの、言ってしまえば当たり前の話を、非常に丁寧に解説している一冊。
読んでいる感じは、「良い報告書の書き方」といったノウハウを聞いているのに似ていると思った。それを、そもそもどういう報告書を書くかというところまで遡ると本書のような内容になるのだろう。
割と具体的なやりかたも書いてある(行き詰まったらこういうのをチェックしろとか、いわゆるビジネスフレームワークの使い方とか)し、勘違いしがちなところ(「答えありき」と何が違うのか)も説明してある。
知的生産みたいなことに関心がある人なら、漠然とは分かっている内容だと思う。ただ、忙しかったり、圧力を受けたり、といったことで変な方向に向かってしまうことは珍しくない。そんなときに、「ふと、振り返る」のに非常に有用な一冊だと思う。
下記の引用部にもあるけれど「言葉にする」のは大事。
以下、参考用に引用。
「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること
(中略)
仕事において悩むというのはバカげたことだ。
仕事とは何かを生み出すためにあるもので、変化を生まないと分かっている活動に時間を使うのはムダ
(No.50)
「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめ、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく
(No.422)
何を考えればいいのかを考える
イシューと仮説は紙や電子ファイルに言葉として表現することを徹底する。当たり前に聞こえるかも知れないが、多くの場合、これをやれと言われてもうまくできない。なぜ言葉にできないのかといえば、結局のところ、イシューの見極めと仮説の立て方が甘いからだ。言葉にすることで「最終的に何を言わんとしているのか」をどれだけ落とし込めているかが分かる。言葉にするときに詰まる部分こそイシューとして詰まっていない部分であり、仮説を持たずに作業を進めようとしている部分なのだ。
(No.487)
よいイシューの3条件
本質的な選択肢である
深い仮説がある
答えを出せる
(No.532)
言葉にすることの大事さ。
「答えが出せる見込みがほとんどない問題」があることを事実として認識し、そこに時間を割かないことが重要だ
(No.722)
下手な努力はだめ。それはアウトプットにならない。
多くの場合、イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すことは難しい。そのため、おおもとのイシューを「答えを出せるサイズ」にまで分解していく。
(中略)
イシューを分解するときには「ダブりもモレもなく」砕くこと、そして「本質的に意味のある固まりで」砕くことが体節だ
(No.1012)
「最後に何が欲しいのか」から考え、そこから必要となる要素を何度も仮想的にシミュレーションすることが、ダブりもモレもないイシューの分解の基本となる
イシューを分解し、課題の広がりを整理することには、次の2つの効用がある。
1.課題の全体像が見えやすくなる
2.サブイシューの内、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる
(No.1106)
イシューを分解していく。扱えるように、具体的な手順にできるように。
ストーリーラインは検討が進み、サブイシューに答えが出る度に、あるいは新しい気づき・洞察が得られる度に、書き換えて磨いていくものだ
(No.1229)
ストーリーラインを作ってくれと言われても「?」となる人が多いと思う。ただ、イシューを分解する作業と同様に、ここでも洗練された「型」があるので安心して欲しい。
(中略)
ひとつが「WHYの並び立て」、もうひとつが「空・雨・傘」と呼ばれるものだ
(No.1250)
ストーリーラインは全体の俯瞰図のようなもので、イシュー全体をどうやって解くかを示し、サブイシューの位置づけを明確化するもの。