k-takahashi's blog

個人雑記用

二度の過ち

 昭和天皇の「二度の過ち」というのは、二・二六事件鎮圧と終戦決定のことで、「立憲君主としてあるべき範囲を逸脱した」というのが過ちなのだそうだ。
 後知恵的には、「他にどうかしようがあったのかいな?」と思うが、決定をする時点では、確かにあるべき手続きを無視したもので、違法行為と言われれば確かにそうである。というのを、大学の法学の授業の時に聞かされた。ソクラテスは「悪法も法である」と言い残して自殺したそうだが、法を守るというのは並大抵のことではない。

 もっとも歴史を色々と見ていると、法に従っていればよい立憲君主などという贅沢が許されるのは、議会制をそれなりに機能させることができる一部の国家のみにおいてであって、大抵は国家の一大事の際は「王」がなにがしかの役割を果たさなくてはならない。そして、それに失敗した国は滅びてしまうのである。
 その意味では、昭和天皇の「二度の過ち」は、当時の日本の議会制の限界を示すものであり、また、それを見越して天皇という「最後の手段」を体制に組み込んでおいた明治の元勲の目が(残念ながら)正しかったということなのだろう。

 どうせ後知恵ならば、と言うことであれば、軍部が統帥権をたてにとって内閣の成立を妨害したり、天皇機関説問題が起こったりしたところで、「ちょっと君たち」とお声をかけていただければ、とも思う。さすがに虫が良すぎる仮定ではあるな。