k-takahashi's blog

個人雑記用

宇宙へのパスポート3

宇宙へのパスポート(3)

宇宙へのパスポート(3)

 人気のロケット打ち上げ追っかけ本第3弾。
アリアンIV、ユーロコット、H−IIA7号機、M−V6号機、STS114の打ち上げとはやぶさの着陸が対象となっているが、実際には、その前後の珍道中(?)記も大きな魅力の一つ。
私も12月にワシントン出張を控えているので(どうせ、観光出来るのは数時間だが)、ワシントン周りの記事は参考になる(といいな)。


 著者の笹本祐一氏も大部汚れてきていて(^^;)、色々と裏事情に絡むような話も増えている。
あまりそちらの比重が大きくなると、松浦氏が二人いるような感じになってしまうので嬉しくないな、と思っていた(そういう書評があったので。)が、本書について言えば、それほど比重は高くないので良かったな、と。

それに、裏事情と言っても、自分の懐事情がベースというところがちょっと面白い。
ロケット打ち上げの変更によって笹本氏の懐が直撃を受ける。よって、打ち上げスケジュールの変更に関わる問題について非常に敏感になる。それがもとで、金銭への関心が高くなる、という具合。これがアリアンの顧客接待(力の入れ方、便宜)の良さや、NASAの政治対策問題、日本の開発計画、に関わってくるというあたりは、笹本氏ならではと言える。(仕事で行く人はこういう心配は少ない。松浦氏はどうなんだろう?)


 日本の開発陣のマンパワー問題についても例によって触れられている。少ない人数で無理して成果を出してしまうと、それが外部の管理者にとっては「当然」のこととなり、さらに条件が悪くなる。一方、アメリカでは、無用な残業は無用なミスの元とばかり長時間労働は基本的に禁止、って、そりゃIT業界の話そのまんまですな。(ああ……)

 今回は「はやぶさ」の取材が入っているのだが、「何度も取材することになるので、記者の理解もどんどん深まっていく」という記述がある。これが、欧米に比べて日本が圧倒的に負けている部分の一つ。一連の取材でマスコミ側の理解も高まれば良いのだが、結局これ(日経:清水正巳の妄言はこちら)だもんなあ。


 やはり、一番燃えるのは「はやぶさ」の記事。でも(本書中にもあるが)こういうのを始終やっているのが競争相手なんだよな。